内容説明
日本中を震えあがらせたドン田岡一雄の凄絶な闘争!!山口組を日本最大の広域暴力団に築きあげた三代目・田岡一雄。その非凡なるヤクザの虚実と全国制覇の野望。そして、山口組壊滅作戦を執拗なまでに展開する兵庫県警との激烈な攻防。日本を震撼させた巨大組織の暗部をえぐる決定版!
目次
文庫版のためのまえがき
第一章 終わりのはじまり──何が田岡を敗北させたか
第二章 あまた親分、その中で──ヤクザの顔
第三章 七人衆の男の紋章──日本制覇への野望
第四章 つくられた復讐──血と屍の進撃
第五章 抗争のバランス・シート──武力闘争の終結
第六章 殺人者のヒューマニティ──あわせのむ清濁の度合い
第七章 蟻と油虫の共生現象──神戸芸能のナリワイ
第八章 アンコと貴族──神港労連と全港振
第九章 養子企業のマキャベリズム──中西工務店と政治性
終章 資本との歌の別れ──失われゆく港の公共性
参考書目
付1 山口組本家最盛時構成表
付2 山口組成長衰退経過表
単行本あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ランフランコ
7
ヤクザは度胸と腕っぷしが大事そうだが、一番大事なのは頭なのだろう。それは結局何事もそうなのであろう。そういう意味では三代目田岡組長は優れたビジネスマンに見えるな。2024/02/29
mimm
7
少なくとも、昔の暴力団に対する最悪なイメージが変化しました。戦後の日本の混乱の中、経済を基盤とする三代目の栄光と没落。暴力団の先には(根っこの部分には)政治家や企業家がいて、そ知らぬ顔をしていたり。国がしっかりしなきゃいけない点を、触らずに置いておいたり。持ちつ持たれつの関係の上、最後にばっさり切り捨てられる。肯定はしないけれど、この国の綺麗事な部分だけで果たして外国からの犯罪に対処できるのか。かなり不安になりました。港湾労働関連の内容も多く、別の面でそちらも気になるテーマです。2012/05/22
y_u
5
明治時代から太平洋戦争前後において、日本は曲りなりとも資本主義体制を歩み続けた中で、「アウトロー」な集団が社会の一役を担っていた。しかし、時代の流れとともに、大きな役割を失い、集団は解体方向へと進む。当著は、当時の様子を時系列に書き上げ、読者に臨場感をもって読ましめている。平成の世では、タブー視されている、政財界や芸能界との関係も事細かに書かれており、世の中の裏側で起こっていたことを知ることができ、衝撃的な内容も多い。表面的な事実だけでなく、裏のやり取りに注目すれば、社会を見る目が少し変わってきそうだ。2016/01/31
Carlos
3
3代目で一気に拡大したのね。2019/05/12
JunTHR
3
「ヤクザ社会」と「ヤクザと社会」とへの深い理解と知識と分析に舌を巻くのはもちろんなのだけど、それよりもとにかく、溝口敦の文体にしびれた。常套句を巧妙に排し、見事なまでに描写を行うその文章は、読んでいてスムーズに頭に入ってくるのだけど、しかしビシッバシッといちいちキマってる。すげぇかっこいい。本書は山口組と田岡組長の終わりを予感を基調に進んでいくが、その後山口組が壊滅することはなかったわけで、このシリーズを更に読み進めていくしかないな。2014/06/11