内容説明
銭湯は町の味噌汁。生まれたばかりの赤子から明日お迎えの隠居までひとつ湯の中、いいだしが出よう筈。日本全国の銭湯を訪ね地元女性の赤裸々を観察し、湯上がりに地元男性と酌み交わす、われこそは入浴の女王。裸の群れに裸で飛び込み、町の素顔を賞味する爆笑珍体験イラストエッセイ三部作、堂々完結。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
64
イワシ頭から呑々を経て、三部作最終巻。所々べらんめえの江戸弁が炸裂する銭湯巡りエッセイ。自身をわしと称する師匠が微笑ましい。印象に残った二編。その一、東京上井草「大師湯」での「ちゃんとあそぶのは、ちゃんとはたらくよりむつかしい。」という展開に目から鱗。その二、東京早稲田「美松浴場」は、図らずも師匠の通院する病院の近く。「病院では死にたくない。」と本音が覗く。40歳を目前に、師匠はどんな心境だったろう? と、しみじみ読了。2021/01/19
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
49
再読本。杉浦日向子さんが編集者のポ嬢と共に、日本各地の銭湯(時々、温泉)を巡ったエッセイ集。もう現存しない銭湯もあるでしょうが、読んでいると銭湯へ行きたくなる。大きい風呂で手足思いっきり伸ばしてゆったりとお湯に浸かりたい。痛快な江戸の啖呵を切りながら、その向こうに今という時代に対するやるせなさや日向子さんの懐の深い優しさが感じられる。人が一番簡単に不幸になる方法は「自己嫌悪と人間不信」肝に銘じたい。2016/08/04
sin
45
後半、辛辣なお言葉がちらほらと…女史は現代という世の中を怒っていらっしゃるようだ。曾ては身近に在ったものがどんどん消え去って行く、取材だなんだと謂いながら、わざわざ説明してやらなくてはならない。文章に残して行かなければならない。こんな世の中に誰がしたんだ?本当にこれでいいの?消え去ってしまっていいものなのだろうか?そんなやるせない心の叫びを聞いた思いがする。せめても銭湯が町内に残っている人は行こうよ!憩うよ、きっと2014/02/12
かっぱ
42
銀座「金春湯」に始まり、大阪生野区「源ケ橋温泉」までの15か所の銭湯を、入浴の女王(日向子さんのこと)が入浴の王女こと盟友ポを連れて利き湯の旅に。東京上井草「大師湯」の回より「あそびごころとは、無駄を楽しむ機知のことだ。しごとなら迷わず特急だが、あそびなら鈍行、徒歩はなおいい。しごとは結果にあり、あそびは過程にある」、「あそびに優劣はなく、嫌悪があるだけだ。そしてあそびにノルマはない。ちゃんとあそぶのはむつかしい」、と。2017/01/03
これでいいのだ@ヘタレ女王
30
日向子節炸裂。 べらんめえ、てやんでえ、江戸時代から ヒョイとやってきたような作者が編集担当者とともに全国の銭湯を回り感じたままを江戸弁で語る。 漫画家から作家に多才な人だったな。2014/11/19