内容説明
親友の妻と恋に落ち、彼らの地獄は始まった
53歳の男が親友の妻と恋に落ちる。田村隆一、北村太郎ら戦後の詩人の群像を描ききった傑作長篇小説。中央公論文芸賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
111
「詩」もしくは「詩人」というのは、今まであまり私にとって近い存在ではなかった。読み終わって…うーん、あんまり後味はよくないかなぁ。主人公・北村太郎は、よくも悪くも女性に対してとっても真面目。女性を振り回したり、振り回されたりしながらも、最期は幸せな人生だったのでは。30近く年若い彼女さんて、男性の理想なのかな(笑)。女性目線では、男子二人の間を揺れて、鬱になり、最後は電話攻撃で他人から疎まれてしまう明子が哀しい。彼女は一生懸命人を愛しただけなのに。世代的に近く、いろいろ身につまされる作品でした。2015/09/13
ワニニ
61
「生活」か「詩」か。詩を生きた北村の人生。『荒れ地の恋』タイトルそのままだった。昨日だったか?加島祥造の死亡記事。実話なんだと妙に感慨深い。当時の芸術家の人間臭さ、許容される時代、そんなものに一種の憧れ。しかし女からみると、明子・治子・阿子…よくついていける。娘も。潔いが自分勝手な男の魅力と、生活から離れた後の詩作の素晴らしさが、淡々と描かれ過ぎる気がして、年寄りの懐古ぽい…が、とにかく荒れ地の恋そのものは蠱惑的で、羨ましいほど。明子や治子を生きるのは怖いから、阿子が良いかな?北村の詩も読んでみなければ。2016/01/08
ふう
61
実存した詩人たちが実名で登場し、実際に起きたことをもとに描かれた作品。これは小説なのだろうかと迷いながら読み進めましたが、そんな枠は関係なく、やはりねじめ氏の作品で、詩人たちはねじめ氏の中で生き返ったのだろうと思いました。言葉の美しさと言葉で語る苦しさ、人を愛する気持ちの純粋さとその愛の恐ろしさ。『荒地』は、北村太郎、田村隆一、加島祥造氏たちが立ち上げた会の名前ですが、そのまま彼らの生きた場所なのかもしれません。人を傷つけ、自らも傷つきながらもがくように生きた詩人たちの、その生き方が心地良くも思えました。2014/06/19
yuyu
43
詩人=芸術家の恋物語。そんな綺麗なものでもないかもしれないが…。ゲスな不倫が蔓延る今、そんな不倫とはちょっと違うような印象。途中、だれたところもあったが、ラストは一気。愛、恋、そして、死について考えさせられた一冊。2016/06/04
miri
41
第三回中央公論文芸賞受賞。詩人の北村太郎をモチーフに、同じく詩人で友人の田村隆一、その妻明子を巡る恋の愚かさ滑稽さの中に、諦めが滲む。背景は70年代、北村が50代の時に明子と恋に陥る。妻子を捨て出奔し、暮らし、詩を作る。世間代表の妻治子とこちら側の世界にいる詩人達の感覚の差は埋めようもない。それは生きるスタイルの違いなのだ。恋の寿命の短さは切なく、情熱はほのかな灯火となる。だが何度も感覚を共にできる人を求めてしまう。これは人間の長年解決できない病のようであると感じる。2025/01/03




