- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
GHQ労働諮問委員会の一員として来日したミアーズ。中立な立場で日本を研究してきた彼女にとって、「軍事大国日本」は西欧列強が自ら作り上げた誇張であった。ペリーによる開国を境に平和主義であった日本がどう変化し、戦争への道を突き進んだのか。日本を西欧文明の鏡と捉え、満州事変を軸に中国・韓国との関係を分析しながら、アメリカが変えんとするその未来に警笛を鳴らす。マッカーサーが邦訳を禁じた日本論の名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
absinthe
161
大東亜戦争に関して、日本に対する非難の多くが不当であると訴える書。欧米諸国が行っていたアジア支配に比べて日本が特に酷かったわけでは無く、日本を再教育する資格など欧米には無いと訴える。当時の米国内の新聞や論調がいかに事実を直視していないか丁寧に論駁する。日本が44年2月には降伏を申し出たにもかかわらずこれを拒絶し無駄に戦争を長引かせた責任はアメリカにもあった。戦前は日本を非難数文書はすべて欧米の領土に手を出すなという論調だったが、戦後、日本の倫理性だけを問題にした。占領当時、本書は日本での出版を禁止された。2021/11/22
らぱん
66
1948年初出。GHQ諮問委員会の一員で東洋史研究者による日本論で、論拠の資料も具体的に挙げられており、中立公平な立場で分析判断し論じている。近代日本の歴史で「国際連盟の脱退」から「パールハーバー」までの不可解さの正体がわかった。当時の国家日本に諸々の問題はあるにせよ、あまりに愚策で愚挙であると思っていたが、かなり追い詰められていた上の行動であったことを理解した。日本の判断は、西欧諸国のやり口を一途に学習して真似た結果であり、ルールは彼らの都合で変わることに気が付かなかった愚かさに同情したくなった。↓2020/01/07
まーくん
55
ヘレン・ミアーズ1948年著。GHQの労働諮問委員会メンバーとして来日、労働法の策定に関わった。”私たち”(欧米列強)は人道的観点から侵略国家日本を懲罰しようとしている。本当だろうか?日本は植民地化を逃れるため”私たち”の教えを忠実に実行しただけではないのか?日本が非人道的だから打倒したのか?”私たち”の権益を侵そうとしたから打倒したのではないか?日本は鏡に映った”私たち”ではないのか?米国人でありながら自らの責任を厳しく追及。冷静さと公平さは感動的である。マッカーサーが邦訳出版を禁じたのもむべなるかな。2018/06/16
うえぽん
53
GHQ労働局諮問機関の一員として来日した日本研究者が1948年に発表し、占領中はマッカーサーが邦訳を禁じた書。統計、高官発言や新聞記事等の史料を基に、米欧による戦中戦後の「最も軍国主義的な国家」という日本像を誇張だとし、治外法権をなくし関税自主権を回復すべく西洋の基準を守った日本が、条件さえ与えれば全ての人間は好戦的になるという事実を示したものだとする。米国の「自由経済」は、自国製品を無・低関税で輸出し、実質賃金の低い日本に高関税を掛けたものだったが、クリントン、トランプ時代にも共通する通奏低音と感じる。2025/06/09
Miyoshi Hirotaka
49
わが国が西洋列強から学んだ最初の教科は、国際関係の合法性は武力であること。わが国は米英の全面的な協力のおかげで近代的軍事・工業国家になった。列強は、権益を守るため中国で頻繁に武力を行使した。満州事変でのわが国の軍事行動も大差なく、法を守った範囲内。それどころか、満州の情勢安定化は共産勢力抑制という共通の戦略に叶っていた。ところが、満州国独立、治外法権、関税自主権放棄などの「解放」という新しい手段を用いたことが各国の逆鱗に触れた。やがて、力を正義と教えたことが自分達へ逆噴射し、太平洋上での全面対決となった。2016/06/01
-
- 電子書籍
- 王墓の謎 講談社現代新書
-
- 電子書籍
- 家で無能と言われ続けた俺ですが、世界的…
-
- 電子書籍
- 憂鬱な城主〈ファム・ファタールの息子た…
-
- 電子書籍
- 異端の祝祭 角川ホラー文庫
-
- 電子書籍
- ヒマチの嬢王【単話】(59) マンガワ…