内容説明
1960年代後半、ヴェトナム戦争の時代。妄想に取りつかれた合衆国軍の将校たちは、仮病と疑われながら秘密収容所に送りこまれ、治療と研究の対象となっていた。最後の収容所となったセンター18には、元宇宙飛行士のカットショー大尉を始め、様々な強迫観念に囚われた兵士たちが収容されていた。新たに配属された海兵隊の精神科医ハドスン・ケイン大佐は、収容者たちの話を聞き続ける中で、かつての患者が見ていた悪夢に繰り返し苛まれる──館に蔓延する狂気と悪夢。そして“奇蹟”の顕現。『エクソシスト』の鬼才による入魂の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
67
ベトナム戦争時代、精神異常の将校たちを集めた、治療と研究の秘密収容所センター18に、海兵隊の精神科医ケインが着任する。悪夢に長年苦しめられてきたケインは、妄想患者たちの治療に当たるのだが…… 映画「エクソシスト」の原作者によるフィクション。映画脚本を小説化したもの。前半は混乱するが途中からひっくり返る。正直万人受けするものではないが、ある種の感動があった。うーむ。2021/02/28
Panzer Leader
21
ベトナム戦争時、強迫観念に囚われた将校たちを入所させている秘密収容所に新たな精神科医が赴任してくる...という興味深い出だしから物語が始まる。が前半は収容されてる患者たちの常識を逸した言動の描写にうんざり。後半隠された真相が明らかになる展開は読ませるが神/宗教がらみの説明は自分にはちょっと理解不能。「ディミター」が傑作だっただけに大いに期待したが本作は1978年の作品。 2016/08/17
たまご
16
「エクソシスト」の作者の,別方向に神に問う作品.人の名前が頭に入ってこず(鳥頭…)初読では気づけませんでしたが,巻末の不親切(^^ゞな訳注(何ページの言葉か記載がないし,本文にも訳注の印ないし)を見るためにぱらぱらめくっていると,ここにもそこにも伏線があることを発見…! 途中まで,半分あたりで出てくるシェイクスピアへの言及がテーマと思っていましたが,やはり神に問う・考えを述べる部分が圧巻です.そして,最後が,これは私たちは喜んでいいのか.素直に,喜んでいいんですよね.2016/03/07
Gemi
16
たまたま表紙に目が留まり手に取ったこの本。本を開くと「館に蔓延する狂気と悪夢。そして奇蹟の顕現。『エクソシスト』の鬼才が贈る傑作。」これは面白そうっ!と思い期待して読み始めるも、なかなか読み進められない…。序盤を読み進めるもすぐに中断してあとがきを読む。すると私にはちょっと知識が足りなかったのかなと思わせる記述を発見。それで納得。時代背景を知り、『キラーケイン』を読んでいないとなかなか入ってこないはずだ。とりあえず最後まで読んでみたがぼんやりとしか理解できなかった。無念。2016/02/19
リプリー
7
何とも変なお話だ。中盤まで、収用者の奇行も含め一体なにを読んでいて、このお話がどこに向かおうとしているのか掴めない。 しかし、中盤にある“あるひっくり返し展開”からは俄然面白くなる。万人にはお薦めできないが、中々稀有な小説だと思う。2017/03/15