内容説明
母の人生に派手な物語はありませんでした。でも、母は料理によって彼女の深い愛情を娘たちに伝えようとしていたのでしょう。偶然見つかったレシピにとっておきの家族愛と想い出がつまっていた。若くしてこの世を去った母が料理に込めた優しさとは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kei
35
14歳で父を、23歳で母を亡くした著者が、実家を新築する際、母の残した日記、ノート、レシピ、写真から、家族の軌跡をたどるエッセイ。台湾人の父との国際結婚や、戦中戦後の日台関係、深刻な病などが綴られるものの、決して感傷的にならず、それでいて家族の温かみを忘れず、かえって、こちらに感動をよびます。アーティストとしての天性の目線があるのかもしれません。レシピ付きの台湾料理が美味しそうでした。2017/11/30
ジュースの素
9
若くして亡くなった一青妙さんの母親だが、死後 料理のレシピが見つかった。11才まで台湾で育った妙さんなので当時の思い出の料理が次々に浮かぶ。母親は日本人だけど必死で言葉や料理を会得した。中華とは似て非なりの台湾料理。海に囲まれている事が違いの理由だが日本とは全く違う海産物の扱いに驚く。「沙茶醤」と言う調味料は定番のようだがとっても美味しそうだ。豚足の料理が何より好きと言うのも 台湾風だなぁ。中国や台湾の食の本はとても魅力的だ。2018/05/26
ぷれば
8
台湾と日本…ふたつの故郷をもつ著者が、亡き母のレシピノートをもとに綴ったエッセイ。思い出は、湯気のむこう、そして舌に残っているのかも。あたたかくも、ほろ苦い…若くして父、ついで母を亡くした著者の懐かしさと寂しさも混濁する。が、やはり食の温かさが勝る想い。くるねこ大和さんのイラストもかわいいです。2015/07/29
ねこ
4
『私の箱子』の続編のようなエッセイ。台湾に嫁ぎ、夫と死別したが、子供たちの前では明るくしていたという筆者のお母様。お母様が残した手紙やレシピから、娘の視点で気づくことを綴るエッセイ。お母様の元彼に会うエピソードには少しドキドキした。近いうちに映画化されるそう。また台湾で美味しいものを食べたくなった。2016/11/27
ひとひら
4
★★★若くして亡くなった母と同じくらいの歳になった娘が当時の手料理の数々とともに思い出すこと。五感を刺激して吸収した栄養は月日が経っても色褪せることはない。その色がとても鮮やか。亡くなってからだいぶ経つからこそ、わかることもあるのだね、2013/08/30