神なるオオカミ 下

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神なるオオカミ 下

  • ISBN:9784062138505

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内容説明

オオカミの子・小狼(シャオラン)を飼いはじめた陳陣(チェンジェン)だったが、オオカミの気高さと闘争本能を失わない小狼に手を焼く毎日。それでも、オオカミについての新たな発見の連続に陳陣は喜び、この「小さな獣」とのあいだに、心の交流が芽生えはじめるのを感じるのだった。一方、草原には、近代化と農耕文化の波が押しよせ、伝統的な遊牧民の暮らしは崩れだし、その精神も、次第に輝きを失いはじめる……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

バトルランナ-

21
チェンジュンはシャオランの飼い方間違えているよー。シャオランに舐められている。オオカミは誰にも媚びないわけではなくて、ボスには絶対的に服従するよ。シャオランは自分がボスだと思っているんだよ。俺なら仔狼の時に尻尾を噛んで噛まれても引っかかれても仔狼が参るまで絶対離さない。マウントを取らなかったのはシャオランにとっても悲劇。ビリクやドールキが教えないことも不思議。それじゃあ牧羊犬だって育てられないよ。よく知らんけど!2020/01/05

Sakie

20
モンゴルの青い空と大草原。オオカミの空を翔ける幻を見たい。ぽっかりと大きな穴の空いたような喪失感が残る。モンゴル民族が、厳しい自然環境だからこそ生み出し、守り続けた古来の知恵こそがタンゴルの教え。故郷を愛するがゆえに信じ、守ることができるのだろう。外から来て、愛する気がなければ、いずれは破壊と略奪しかない。この普遍の真実を、教養ある漢民族の青年に目撃させることで地球まるごとに広がる物語になっている。獣たちの魂も愛せないで、人間はいったい何をわかったつもりになってるんだろう。どこへ行けると思っているのか。2019/05/10

em

14
著者の分身でもある主人公は文化大革命期、北京から内モンゴルに下放された知識青年。彼はモンゴルのオオカミに魅せられ、オオカミ・トーテム、遊牧民の掟を学んでいく。なぜモンゴル人は、少数の騎兵で有史以来最大の領土をもつ帝国をつくりあげることができたのか。遊牧民族の歴史的強さのゆえん、農耕民族との違い、ローマ帝国(オオカミに育てられた双子の建国神話を持つ)との相似を見いだす過程は読み応えあり。また各章のエピグラフには東西の史家、魯迅が引かれていて、どれももう少し読みたいと思わせるものでした。2018/04/09

宮永沙織

10
文化革命の際、知識青年たちがモンゴルの生活レベルを挙げる為に生活を余儀なくされ、そこでオオカミトーテムと出会う。敵ながら畏れ敬い共生していく遊牧民。そこでの生活を荒らしていく農耕民族。実際に文革の時の体験談を30年間かけて描いた中国でベストセラーになった本。2010/10/08

ハチアカデミー

8
主人公である知識青年・陳陣は、村にオオカミの子どもを連れて帰り、その成長を間近で見ようとする。小狼(シャオラン)と名付けられた子狼との生活から、オーカミ・トーテムの謎を解明していく。やがて、現代中国が失ったもの、野性的な闘争本能、独立心、仲間との強力なつながりなどの重要性に気付かされていく。文明の中に狼を連れてきてしまったことへの葛藤や苦悩も、丁寧に描かれている。オロン草原の古老ビリグじいさんの苦しみから、文明という言葉の振れ幅を知る思いがした。後日譚「知的探求」には著者の結論がストレートに記されている。2014/07/26

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