内容説明
桃子は高校1年生。中学時代に親友だった綾美も同じ高校に入学したが、まもなく不登校になった。それは中学時代に体験した壮絶ないじめが尾を引いているからだったらしい。一方、人数不足の「うた部」(短歌)に思いがけなく入部した桃子は綾美に対して、高校で友達は作らないという宣言までしてしまう。そしてある日の放課後、うた部で短歌甲子園に出場しようという話が持ち上がって…。第53回野間児童文芸賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
風眠
123
読み始めは、引きこもりの綾美の性格悪いわー、とか、主人公の桃子が頑なで意味分かんないわー、なんて思いながら読んでた。でも桃子が「うた部」に入部し、それぞれのキャラが立ってきて、脇のキャラもいい感じで、みんないい子じゃん〜って、コロリと寝返った私です。うた部とは、短歌のほうのうた。三十一文字という限られた文字数の中に心を切り取る。「短歌って心の格闘技かもしれない」という言葉そのままに、揺れ動く高校生達の心の葛藤と踏み出していく勇気が描かれている。作中の短歌もとてもいい。清々しいものを読んだ!って気分の読後。2015/06/26
chimako
93
以前の職場でスクールカウンセラーがさっと手に取った本だった。なるほど。いじめが原因で不登校になった少女と、その事で良心の呵責を抱えた友だち。主人公は友だちの桃子。不登校の綾美が学校に来られるようになるまでともだちを作らないと誓う桃子だが、ひょんな事から短歌部をのぞくことになる。31文字に込める情景や想い。個性豊かな部員や先生が固くなな気持ちをほぐしていく。やがて綾美の心さえも。クライマックスは短歌甲子園。連歌を編む桃子と綾美。お題は「うた」もしくは「うたう」綾美の下の句でジンとくる。2017/06/30
ムーミン
83
言葉の力、可能性について希望を持てる作品でした。一人一人のキャラクターが秀逸。もし現役で子どもたちと国語の授業て向きあっていたら、ぜひ短歌を通して言葉の魅力を一緒に味わいたいと思いました。村上氏があとがきで紹介しておられた「飛び跳ねる教室」をアマゾンで注文してしまいました。2024/08/15
佳音
83
中高生の心情がよく描かれている。「うた」を詠む事はおかれた状況や感情から逃げずに自己と向き合うことができるという事。いじめのトラウマと葛藤し、周囲を傷つける綾美。友だちとして庇えなかったことで傷を負い自分を追い詰める桃子。二人に関わろうとするクラスメート 彩や、自らも苦しみを乗り越えてきたうた部の先輩達や顧問の先生が温かく彼女たちを見守る中、彼女達は勇気を持ち自己に向き合って、「うた」を完成する。書名「うたうとはちいさないのちひろいあげ」は上の句である。下の句を想像しつつ、彼女達の心情を共有して頂きたい。2015/08/21
はる
81
高校の短歌部に入った桃子には不登校になってしまった親友がいた…。短歌を通して描かれる成長と再生の物語。重いテーマだけにつらい描写もありましたが、二人の少女の絆を感じさせる美しいラストは爽やかで救われます。児童文学の多い村上さんらしい、希望的な展開。短歌甲子園のシーンは臨場感があってワクワクしました。うたうとは素晴らしきこと。2016/05/02




