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内容説明
1930年,ヤラヴァーダー中央刑務所に収監中のガンディーは,修道場(アーシュラム)でみずからの教えを実践する弟子たちに宛てて一週間ごとに手紙を送る.真理について,愛について,清貧について,不可触民制の撤廃について,国産品愛用運動について…….ただただ厳粛なる道徳的観点からのみ行動した,「偉大なる魂」(マハートマ)の思想と活動原理.(新訳)
目次
目 次
凡 例
序 文
一 真 理
二 アヒンサー=愛
三 ブラフマチャリヤ=純潔・禁欲・浄行
四 嗜欲(味覚)の抑制
五 不 盗
六 無所有即清貧
七 無 畏
八 不可触民制の撤廃
九 パンのための労働
十 寛容即宗教の平等(一)
十一 寛容即宗教の平等(二)
十二 謙 虚
十三 誓願の重要性
十四 ヤジュニャ=犠牲
十五 ヤジュニャ(承前)
十六 スワデシー=国産品愛用
《解説》ガンディー思想の源流をたずねて(森 本 達 雄)
注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
106
ガンディーの思想がこの手紙に凝縮されていると言えるでしょう。獄中から修道場の弟子たちに送る手紙から厳粛な道徳観を伺うことができます。獄中にいても自らの教えを深く掘り下げていくことに時間を費やした姿は、宗教における敬虔な求道者そのものでした。非暴力の抵抗は、真理へと向かうための抵抗だということを感じます。一言一言が重く響きました。2016/10/08
ころこ
42
政治的アジテーションが無いので、パンチが効いていない、読み辛いという読者には、テクストの外部もまたテクストである。コンテクストがないと、そのテクストの本当の意味は分からない。ということで、本書の解説や『100分De名著』を読むと良い。特に後者には多数の本書からの引用があり、言葉の意味が不思議とつかめるはず(それもまたひとつの解釈に過ぎないが)。政治家や宗教者は言葉だけにこだわると評価を誤る。行為によってはじめてその言葉が意味を持つ存在だということに気付く必要がある。2022/10/04
さばずし2487398
35
ヒンズー文化のこれほどまでに厳しい概念に唸る。食べすぎれば相手の食べ物を奪っている盗人になる。普通に食べていても本来人はみな盗人。そんなふうに謙虚に地球から「頂いている」事を感じるのは、今後の人口爆発に向き合う際、必要な概念なのではないだろうか。資本主義の限界を示し国産を推奨する辺りも何十年先の世界をまるで知っていたかのよう。後半に掲載してあるガンジーの生涯も興味深かった。西洋かぶれになり、差別を知り、自国を振り返り、究極に人間の必要なものを見つめる。今の人類を駆け足で体現しているかのようである。2021/12/07
イプシロン
34
解説を含めた158ページにガンジーの精髄がつまっている。座右の一書になりうる良書。ガンジーの語りかける「わたしたち」という言葉は実に優しいし、難解で高尚な哲学をやわらかい言葉で語っている空気につつまれるだけで、幸福感をえることさえできるだろう。すべては「心」からはじまる。憎悪の連鎖を断ち切ることも、宗教間の対立を乗り越えることも、「非暴力(アヒンサー)」へと帰一し、最高峰の真理(宗教)は一如(ひとつに融合する)という見識は見事だ。マハトマ(偉大なる聖人)が、人類の父(バープー)になろうとした軌跡は美しい。2015/08/20
バズリクソンズ
30
インド独立の父という肩書きでは表現しきれないほどの真の偉人。その厳格な掟を自らに課し、自らが先頭に立って政治、宗教の両面を駆使してインドを独立に導いた生粋の活動家である。本書は刑務所収監時に週に一回弟子たちに宛てた手紙の内容で、短い内容にしっかりと信念と守るべき教えが記されている。これほど真理を守り通し、欲に支配されることなく自分を確立出来た人物は唯一ガンディーだけで今後も出現しないであろう。個人的に十二の謙虚の内容が一番響いた。これぞ真っ先に手に取って読まなければならない全人類必読の教本、いずれ自伝も。2024/06/30