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内容説明
総世帯数を大幅に上回る住宅がありながら、さらなる新築建設を推進する政策で、いずれ3軒に1軒は「空き家」になると言われている。新品を大量生産するのが良いことと考え、古いものに手間をかけるということを忘れてきた戦後日本。それが立ちゆかなくなった今、負の財産をお宝に転換できるひとがこれからの社会を作っていく。本書は空き家の現状と活用を阻む4つの要因を分析し、それを打開する試みを、3つの立地条件別に豊富な具体例で見ていく。活用の鍵となるのは「愛情」と「連携」。親が空き家を残しても、これでもう怖くない!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nobuko Hashimoto
16
空き家の増加とそれに伴う問題は画一的な対策や解決策では対処できない。立地や建物の状態、持ち主の状況などによって、収益が見込めるか、公益性を追究する方がよいのか、社会性を育む場として活用するのがよいのかが変わってくる。しかし、重要なのは、とにかく問題を先送りしないこと。機を逸するとどんどん処分は困難になる。簡単に解決する問題ではないが、空き家をうまく活用している例は多い。空き家予備軍を抱える人や自治体に参考になるだろう。2016/10/20
關 貞浩
9
前半は主に大家・不動産業者などを対象とし、後半では地域ごとのモデルケースや成功した行政の取組みなどを紹介している。千葉県佐倉市ユーカリが丘のデベロッパーである「山万」の取組みが印象的。年間の売出し戸数を限定し“街をチューニング”するようにして街の成長を管理し、家を売った者の責任として東日本大震災の直後に全戸訪問して水と食糧の調達まで行ったという。市場価格に踊らされることなく、愛情と人間関係を大切にすること、“モノ”の本質的価値を見る眼を養うことが大切だと感じた。「先送りは最悪の選択」という言葉が耳に痛い。2016/08/08
ひろし
9
仕事で関わりがありそうなので読んでみた。空き家は問題視されるばかりと思っていたが、読んでみるといろいろな活用方法があることがわかる。知恵と工夫と労力次第でいろいろ活かせそうで、前向きな気持ちになれた。でも実際携わると苦労もありそう。2015/11/18
awe
4
空き家問題について概要を掴みたいと思い手にした一冊。所々雑な記述内容や誤字脱字が散見されるものの、勉強にはなった。◆空き家問題は社会問題のデパートである。様々な要因が絡まり合い、(3軒に1軒は空き家という)空き家問題が登場した。一つには、国による人口動態を無視した住宅建設支援があるという。確かに戦後すぐは住宅が不足していたが、1968年には住宅戸数は充足しており、少子高齢化の兆しもあったにも拘らず、国は住宅建設をお膳立てしてきた。それは住宅建設が手っ取り早い景気刺激策だからだという。確かに住宅を建てるには2022/12/18
さだはる
4
勉強用。土地活用の記事を書いているので、参考にさせてもらいました。よくまとまっていて、分かりやすい本です。個人的にも空き家対策はせざるを得ない立場なので、なるほどと思うところ多々あり。田舎すぎてどうにもならん気もするけど…。親戚もなんやかんや口出しするだろうし、空き家対策は知恵と工夫とパワーが必要。2017/07/19