天智朝と東アジア 唐の支配から律令国家へ

個数:1
紙書籍版価格
¥1,540
  • 電子書籍

天智朝と東アジア 唐の支配から律令国家へ

  • 著者名:中村修也【著】
  • 価格 ¥1,309(本体¥1,190)
  • NHK出版(2015/11発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140912355

ファイル: /

内容説明

古代日本に存在した、もう一つの「占領」

663年の「白村江の戦い」に敗れた日本は、唐の再攻撃に備えて防衛態勢を整備し、その後は律令国家建設へ邁進したと言われている。だが、それは本当なのか? 本書は、唐の羈縻政策を軸に展開した当時の東アジア情勢を踏まえつつ、中国・朝鮮側の史料との比較から『日本書紀』を再検証し、これまでの通説に挑む力作。唐の支配体制が、その後の律令国家体制とどのように結びついていったのかを鮮やかに描く。

[内容]
はじめに
第1章 白村江への道(風雲急を告げる東アジア)
第2章 白村江の敗戦処理
第3章 朝鮮式山城の築造
第4章 近江遷都
第5章 律令国家への道
おわりに──史料解釈の問題提起として

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

23
王朝を正当化するための欺瞞と隠蔽にまみれた日本書紀とそれを鵜呑みにする歴史学を批判しつつ、白村江の戦いを日本の完敗と位置づける。唐による植民地化は、朝鮮半島の情勢の変化がなければさらに進んでいただろうという。とつぜんに何の地の利もない近江に遷都したのも、飛鳥の地を唐に明け渡すためだった。これほどの規模で外国に占領されたこの出来事をGHQによるそれと比較しているのが興味深い。白村江の敗北を認めようとしない歴史学は、敗戦にほかならないのにいまだに終戦という言葉しか使おうとしないいまの歴史学と地続きなのだ。2021/09/03

kk

18
Kindle本。終戦後の日本が連合国の占領下に置かれ、GHQの指導下で新体制が構築されたのと同様、白村江での惨敗後、天智朝日本は唐の指図に従って律令体制の構築を開始するに至ったというご説。ページを捲るごとにツッコミたくなりますが、独創的で、ある意味ロマンに満ちた発想。少なくとも読み物としては面白いと思いました。2022/11/08

月をみるもの

15
"日本が対外戦争を起こして,大敗北を喫したことが過去に2度ある。最近の経験としては第二次世界大戦における敗戦であり、遠い過去のものとしては白村江の戦いである。,,,,,,、七世紀の日本が、近隣の朝鮮三国と関わりながら、唐という大国と戦い敗北した白村江の戦は、二十世紀においてアジアを巻き込みながらアメリカという大国と戦い、敗北した第二次世界大戦と共通する点が見いだせるということである 。” → 続く 2019/04/29

クサバナリスト

10
白村江の戦いの戦後処理も考察としてとても面白い見解だと思う。唐からの戦後処理使節があったのではないか、大津京遷都は飛鳥京を引き渡すためではないか等。教科書的解説とは異なり興味を持てた。2016/01/16

清水勇

8
白村江の戦いは事柄としては知っていたが、日本の天智天皇(中大兄皇子)と天武天皇(大海人皇子)の確執、朝鮮の百済・高句麗・新羅の覇権争いに唐の羈縻(周辺の異民族支配)政策を絡めて、7世紀後半の東アジアの大きな変化を、日本書紀、新羅本記、旧唐書の記載を満遍なく読み込みこれまでの歴史認識と大きく異なる解釈を示す。著者は、白村江で唐・新羅連合軍に敗れた日本は、唐に占領され羈縻政策を敷かれるが、新羅が朝鮮を統一することで唐に反旗を翻すことで、日本は唐の頸木から逃れ独立国としての体制をとったとする。面白いし納得。2016/02/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9913633
  • ご注意事項

最近チェックした商品