内容説明
唐島英治クインテットのテナーサックス奏者・永見緋太郎は、天才的な技術とは裏腹に、相変わらず音楽以外に興味を持たない日々。しかし、ひとたび謎や不思議な出来事に遭遇すると、大胆にも的確にその真相を突いてくる。名古屋のライヴハウスに現れたという伝説のブルースマンにまつわる謎、九州地方の島で唐島と永見が出合った風変わりな音楽とのセッションの顛末、“密室”から忽然と消失したグランドピアノの行方、など7編に、特別編「さっちゃんのアルト」を収録。ライヴ感溢れる、日常の謎的ジャズミステリ〈永見緋太郎の事件簿〉第2弾。/解説=山田正紀
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gachi_folk
12
ミステリー 部分も良いのだが、何と言っても演奏シーンが相も変わらず良い。ジャズにはホント疎いのだが、そんなこと関係なくビッシビシとグルーヴが伝わって来る。音楽好きにはたまらんな。前巻読了後はレコード屋に駆け込んだのだが、今回も迷わず直行。無事に「生活向上委員会」をゲットした。2015/07/02
えむむ
10
空気読まない永見さんの謎解きが爽快。甘い土の落ちが笑えた。さっちゃんのアルト、こうなるかなとよぎったけど何とも切ない…。2023/10/12
りこ
9
前作の「落下する緑」からかなり間があいたのですが、相変わらず面白かったです。それぞれ前作は色、今回は味覚で統一されたタイトルのミステリーですが、それぞれの作品の後のジャズ蘊蓄もまた楽しい作品。2014/10/13
ファーラス
8
再読。やはり上手い永見&唐島のジャズミステリ短編集、2作目。1作目はクリエイティブの裏側中心の短編集だったが、2作目はジャズや音楽を中心に幅広い謎へとスケールアップしている。とにかく、演奏シーンの描写と雰囲気作りが、他のなんちゃって音楽小説とは桁違い。筆者自身が奏者であるから、音楽を適切に表現して場面や展開の印象を狙い通りに導く語彙の豊富さ、適切さが違う。このシリーズを読むと、門外漢のほぼ全員は音楽小説を書きたくはなくなるだろうな。面白くも豊かな隙のない傑作シリーズなのに、全然読まれていないのが残念。2024/06/27
ミノムシlove
7
先だって、アンソロジーで『辛い飴』を読んだ。とぼけた氷見緋太郎の人物設定・甘すぎない温かなストーリー・ギャグ味の無い点、初めて読む作家だったがとても好みだった。グランドピアノのお話は少し奇想天外過ぎてもう一つだったけど、それ以外は甲乙つけがたい短編集だった。音楽要素が豊かなところも気に入った理由だと思う。ジャズの知識は全く無いけれど、セッションって楽しそうだなぁ。2025/07/30