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内容説明
この圧倒的な絵画空間は、いつ誰の注文によって描かれたのか? それを紺暖簾、能舞台の演目、家紋、若公家と上臈、武家行列、二条城での裁判、若松図などの細部から読解。華麗な岩佐又兵衛ワールドを解き明かす!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アメヲトコ
3
岩佐又兵衛の洛中洛外図舟木本は、いつ誰が何を描かせようとしたのか。細かい手がかりをもとに核心に迫っていく手法は、どこか叙述にテクニックを感じさせながらも、ついつい釣り込まれてしまいます。小島道裕説とは全く異なる結論が出てくるところが絵画史料の読解の面白さでしょうか。2016/06/20
chang_ume
2
再読。先行研究が乏しい「豊臣定舞台」(大仏殿裏に置かれた、豊臣政権の国立劇場的な常設能舞台)について、屏風中の演目復元が見事でした。さすがの東大史料編纂所。史料の探索と特定の過程がスリリングです。2016/04/30
Wataru Hoshii
2
黒田先生の、年に1冊の角川選書シリーズ最終作は、船木本洛中洛外図屏風。屏風の描写を丁寧に読み解き、注文主に迫っていく推理のプロセスはいつもながら緻密かつ大胆。従来言われていたような政治的対立が主題ではないという指摘、かなり具体的な事件を描き込んでいるという指摘が目から鱗で面白い。解読しきれていない部分もあり、推理の楽しみも残されている。次に船木本を実見するときが楽しみになった。2015/12/14
はちめ
1
後半の依頼者を特定していく過程は推理小説的な面白さがある。前半の作者をめぐる学問史的記述はややくどい感じがするが、著者としては美術史的な読みだけではなく歴史学からの読みが必要だということを強調したいということだと思う。2016/03/27
うみ
1
豊国祭礼図の前にこっち読んじゃった。作者が岩佐又兵衛ってのは最近の見解なのか。私がにわか勉強始めてからなのね。辻先生を中心にした研究史の整理にふむふむ。大先生の<回心>がさすがだと思う。モノクロだと絵の細かいところがよくわかんないんだけども,トーハクの舟木本アプリを使うとああこのことかーと納得しながら読んでいける。謎ときについてどうこう言えないけども,美術史と歴史との境界を超えたコラボは必要で,それはほかの分野についても言えるなぁと感じいる。2015/12/24