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内容説明
この圧倒的な絵画空間は、いつ誰の注文によって描かれたのか? それを紺暖簾、能舞台の演目、家紋、若公家と上臈、武家行列、二条城での裁判、若松図などの細部から読解。華麗な岩佐又兵衛ワールドを解き明かす!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
umeko
10
やり込められちゃった感は少し残るものの、面白かった。かなり細かい史実まで検証され、描かれた時代の世相が生々しく感じられる。2016/06/24
アメヲトコ
3
岩佐又兵衛の洛中洛外図舟木本は、いつ誰が何を描かせようとしたのか。細かい手がかりをもとに核心に迫っていく手法は、どこか叙述にテクニックを感じさせながらも、ついつい釣り込まれてしまいます。小島道裕説とは全く異なる結論が出てくるところが絵画史料の読解の面白さでしょうか。2016/06/20
chang_ume
2
再読。先行研究が乏しい「豊臣定舞台」(大仏殿裏に置かれた、豊臣政権の国立劇場的な常設能舞台)について、屏風中の演目復元が見事でした。さすがの東大史料編纂所。史料の探索と特定の過程がスリリングです。2016/04/30
Wataru Hoshii
2
黒田先生の、年に1冊の角川選書シリーズ最終作は、船木本洛中洛外図屏風。屏風の描写を丁寧に読み解き、注文主に迫っていく推理のプロセスはいつもながら緻密かつ大胆。従来言われていたような政治的対立が主題ではないという指摘、かなり具体的な事件を描き込んでいるという指摘が目から鱗で面白い。解読しきれていない部分もあり、推理の楽しみも残されている。次に船木本を実見するときが楽しみになった。2015/12/14
うしうし
2
舟木本が、美術史家辻惟雄から岩佐又兵衛の作と認定されるまでの研究史をたどるとともに、この屏風に描かれる二条城と方広寺大仏殿が徳川対豊臣の政治的な対峙・対抗を意図するものではなく、注文主を含む下京の人々にとって、法と秩序を維持する存在としての二条城、遊楽の場としての方広寺大仏殿であったと解釈。注文主は笹屋半四郎の祖父または父で、板倉勝重の屋敷に出入りしていた商人。完成時期は慶長19年(1614)8月19日以降、同年末頃に比定。屏風に描かれている様々な事象を詳細に、かつ大胆に解読してゆく姿勢は筆者独自のもの。2015/11/28