岩波新書<br> 日本の思想

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岩波新書
日本の思想

  • 著者名:丸山真男
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 岩波書店(2015/12発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004120391

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内容説明

現代日本の思想が当面する問題は何か.その日本的特質はどこにあり,何に由来するものなのか.日本人の内面生活における思想の入りこみかた,それらの相互関係を構造的な視角から追求していくことによって,新しい時代の思想を創造するために,いかなる方法意識が必要であるかを問う.日本の思想のありかたを浮き彫りにした文明論的考察.

目次

目  次

 Ⅰ 日本の思想
  まえがき
   日本思想史の包括的な研究がなぜ貧弱なのか/日本における思想的座標軸の欠如/自己認識の意味/いわゆる「伝統」思想と「外来」思想/開国の意味したもの
  一
   無構造の「伝統」その(一)──思想継起の仕方/その(二)──思想受容のパターン/逆説や反語の機能転換/イデオロギー暴露の早熟的登場/無構造の伝統の原型としての固有信仰/思想評価における「進化論」
  二
   近代日本の機軸としての「國體」の創出/ 「國體」における臣民の無限責任/ 「國體」の精神内面への滲透性
  三
   天皇制における無責任の体系/明治憲法体制における最終的判定権の問題/フィクションとしての制度とその限界の自覚/近代日本における制度と共同体/合理化の下降と共同体的心情の上昇/制度化の進展と「人情」の矛盾
  四
   二つの思考様式の対立/実感信仰の問題/日本におけるマルクス主義の思想史的意義/理論信仰の発生/理論における無限責任と無責任
  おわりに

 Ⅱ 近代日本の思想と文学──一つのケース・スタディとして──
  まえがき
   政治─科学─文学
  一
   明治末年における文学と政治という問題の立てかた/文学の世界をおそった「台風」/ 「社会」の登場による走路の接近/マルクス主義が文学に与えた「衝撃」/文学者に焼付けられたマルクス主義のイメージ/昭和文学史の光栄と悲惨/政治(=科学)の優位から政治(=文学)の優位まで
  二
   プロ文学理論における政治的および科学的なトータリズム/政治的と図式的/政治過程におけるエモーションの動員/政治における「決断」の契機/思考法としてのトータリズムと官僚制合理主義/政治の全体像と日常政治との完全対応関係/方法的トータリズムの典型/政治(=科学)像の崩壊──転向の始点と終点/日本の近代文学における国家と個人/ 「台風」の逆転と作家の対応の諸形態/旧プロ文学者における文学の内面化と個体化/対立物(文学主義)への移行契機
  三
   文化の危機への国際的な対応/各文化領域における「自律性」の摸索/政治・科学・文学における同盟と対抗の関係/科学主義の盲点/トータリズムの遺産の否定的継承/ 「意匠」剥離の後に来るもの
  おわりに

 Ⅲ 思想のあり方について
   人間はイメージを頼りにして物事を判断する/イメージが作り出す新しい現実/新しい形の自己疎外/ササラ型とタコツボ型/近代日本の学問の受け入れかた/共通の基盤がない論争/近代的組織体のタコツボ化/組織における隠語の発生と偏見の沈澱/国内的鎖国と国際的開国/被害者意識の氾濫/戦後マス・コミュニケーションの役割/組織の力という通念の盲点/階級別にたたない組織化の意味/多元的なイメージを合成する思考法の必要
 Ⅳ 「である」ことと「する」こと
    「権利の上にねむる者」/近代社会における制度の考え方/徳川時代を例にとると/ 「である」社会と「である」道徳/ 「する」組織の社会的擡頭/業績本位という意味/経済の世界では/制度の建て前だけからの判断/理想状態の神聖化/政治行動についての考え方/市民生活と政治/日本の急激な「近代化」/ 「する」価値と「である」価値との倒錯/学問や芸術における価値の意味/価値倒錯を再転倒するために
 あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

123
かなり難しかった! この本は大学のゼミの先生におすすめされた本である。丸山眞男さんのことは高校時代から知っていた。だが、今まで読んだことがなかった。今回読んでみて難しい概念や説明が多く理解するのに時間がかかってしまった。まだ丸山眞男さんが言うことが完全に理解することができない。そのため丸山眞男さんの他の本や丸山眞男さんの思想に影響を与えた人の本を読んで理解したいと思った!2019/10/11

kaizen@名古屋de朝活読書会

92
日本の思想とあるが、近代日本思想についての書籍である。 もともとは4つの文章を1冊にしたものとのこと。 1 日本の思想 2 近代日本の思想と文学 3 思想のあり方について 4「である」ことと「する」こと 最後の「である」社会と「する」社会の混交について、夏目漱石を例に示している。 考える視点、文章を書く視点としても有益だと感じた。岩波新書百一覧掲載http://bit.ly/10CJ7MZ2013/06/23

SOHSA

52
《購入本》何度目かの再読。何回読んでも新しい発見や気づきがある。1961年発刊とは驚き。本書は4章に分かれており、Ⅰ「日本の思想」Ⅱ「近代日本の思想と文学」Ⅲ「思想のあり方について」Ⅳ「であることとすること」で構成されている。個人的にはⅠとⅢがわかりやすい。日本の國体思想の形成過程とその視点は、事の善悪は別にしてもなかなかに興味深い。2016/01/13

yomineko@ヴィタリにゃん

51
読友のはっせーさんからのご紹介です。内容はかなり難しいですが読みごたえがありました。昔の日本人の教養の深さ、高さを思い知りました。1995年時点で第61刷発行の驚異!2019/10/25

壱萬参仟縁

47
’61年初出。高校3年の時の現代文でⅣ「である」ことと「する」こと(‘58年初出) を読んだ記憶がある(153頁~)。確かな記憶である。あの頃は、模試で点が取れずに困っていた。官僚の思考様式はマンハイムが閉鎖的=静態的な論理のシステムをつくり上げて、個々の裁量や決断はこのシステムの具体化と想定(96頁)。自然科学者と社会科学者の間に、本質的に同じ任務をもっている連帯意識が乏しい。大学や学界の哲学と社会科学の交流がなく、タコツボ化した(133頁)。 2014/12/22

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