内容説明
幽閉されていたはずのナポレオンがついにエルバ島を脱出した! 歓声のこだまするパリで若き新聞記者・モンデールが取材を重ねて浮き彫りにした、稀代の英雄の実像とは――。漲る野心、比類なき人心掌握術、天賦の戦略の才、飽くなき性への欲求……。人間のあらゆる欲望を一身に背負い、ヨーロッパを駆け抜けたナポレオン。混迷を生きる現代人に活力をもたらす、画期的歴史長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のれん
8
ナポレオンが最後の闘いに赴こうとするまさに歴史の転換点を舞台にし、皇帝の所行を振り返る。 一記者による取材視点で進み、対象は実在する人物ばかり。 王はその国の国民性を表すものだが、フランスというのはとにかく専制君主とラブロマンスがお好きなようだ。 アレクサンドロス、カエサル、先史が伝える覇道のロマンを近代で叶えるその果てしなき胆力。 しかしその実態は愛する女に恵まれない悲哀の小男だ。嫉妬と独占欲を自尊心で覆い隠す弱い男。それと重なる記者もまた恋に溺れるフランス男なんだな、というのがなんとも笑みを誘う。2021/08/22
春日
3
執拗なまでの耽美描写…こんなにいるのかなぁと少し辟易しました。藤本氏らしいといえばらしいですし、全て下巻の前振りなんですが、それにしても多い…2013/11/01
α0350α
3
あらすじを見てエルバ島以前の話も読みたいと思っていたらモンデールの取材という形でその話もあって良かったです。ナポレオンの活躍は良いんですが、それに対して全くリスペクトの無いジョゼフィーヌやタリアン氏に対するマダム・タリアンといった上流階級女性の身勝手さにはイラっとさせられますね。というかそういう書き方がうまいですね。デュマ将軍登場しないかなと思っていたらちょっとだけ出てきたので嬉しかったです。下巻も楽しみです。2012/10/20
那生
3
ナポレオンエルバ島脱出―。その一報を受け、若き新聞記者モンデールはかつての皇帝についての記事を書くことに。美貌のマダム・タリアンとの恋愛を軸にし、かつてナポレオンを取り巻いた人々がふんだんに登場する豪華な歴史絵巻通俗バージョンです。著者の持ち味である自由な歴史人物造形がなかなか生きた一作の様子。ナポレオンの生涯が激動すぎるため、エジプト戦役などはこのページ数でも少々端折った感がありました。これだけこなせば睡眠時間が3時間になるのも頷ける。2012/04/21
イトノコ
2
ナポレオンがエルバ島から脱出。新聞記者のモンデールは編集長に命じられ、ナポレオンゆかりの人々への取材を始める。取材対象の語るナポレオン像はバラバラで、なかなかひとつの像を結ばない。最初、ナポレオン(またはその近くの人間)を主格にせず、取材による伝聞という形にした著者の意図が分からなかった。しかし、取材を重ねるにしたがいモンデールだけでなく読者の中にも、実物のナポレオンを見たいという期待が生まれる。ナポレオンが徐々にパリに接近する様を並行して描く事で、その期待は嫌でも高まるのだ。取材は確かに長すぎるけども。2018/03/15
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