内容説明
4歳のとき実母に捨てられ、養父母に育てられた坂口光四郎は、高校ではファンクラブができるほどの美少年として有名だった。
あるときファンクラブの一人の女性が雑誌の読者モデルに勝手に応募してしまったことをきっかけに俳優としてデビューを果たした光四郎だったが、
俳優としては鳴かず飛ばずだったところに仮面の特撮時代劇ヒーロー「天空仮面」の主役が転がり込み、1年間も続く超人気番組となる。
しかし、大ヒットしたうえに、その後も再放送が数多くなされたことで「天空仮面」のイメージが払しょくできず、だんだんと俳優の仕事がなくなっていく光四郎。
さまざまな職を転々とするがうまくいかず「天空仮面」を恨み続けていたが、
ある一人の熱烈なファンとの出合いをきっかけに、再び「天空仮面」を演じたいという気持ちがこみ上げてくる……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
64
「仮面の忍者赤影」の赤影、坂口祐三郎さんと原案の瀬崎智文さんとの出会いから別れをモデルにしたフィクション。「赤影」は小説の中では「天空仮面」と置き換えられ、その呪縛から逃れられない坂口光四郎が主人公。小説内での番組の放送時期が現実とは変えられていたり、主人公の坂口光四郎がかなり傲慢な性格として描かれたりしているけれど、綴られている坂口さんや瀬崎さんの想いは真実であり心に刺さるものだと感じました。読んで良かった1冊です。2024/01/05
ユカイ
4
有名な特撮の俳優を題材にした小説。俳優に色がつくってことがもたらす悲劇って感じ。どこかで元ネタの赤影見ようかなとの気持ちになった。(あとその後の作品も少し。)2020/11/21
りゃーん
0
私の世代で、主演「赤影」にハマっておたくはいない。 未だ生まれていないかったからで、故にひと回り上の世代、永野護や今川泰宏の作品ではその影響が見受けられる。 だが私はTVの懐古特番で、坂口祐三郎を観た折に「『赤影』は仮面ライダーやウルトラマンと違って、兄弟出さなかったから廃れたんだよ」と発現しており、なんか引っかかり、そのうち忘れたが、本書の存在でそのシーンを思い出したのだ。 岸田森・平田昭彦のような特撮が心から好きな役者バカでもなく、篠田三郎やオダギリジョーのような特撮をステップに役柄を増やせるワケ2015/12/26