岩波ジュニア新書<br> まねが育むヒトの心

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岩波ジュニア新書
まねが育むヒトの心

  • 著者名:明和政子
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2015/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005007288

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内容説明

心はいつ生まれ,どのように育つのでしょうか.サルやチンパンジーとヒトの赤ちゃんの発達をくらべると,ヒトらしい心が成り立ってきた道すじがみえてきます.相手の気持ちをくみとったり,「おせっかい」に関わろうとするのはヒトだけです.それはなぜか.赤ちゃんがみせる「まね」と「共感」をキーワードに,その謎にせまります.

目次

目  次
   はじめに

 第1章 心が生まれる道すじ
  1.心について研究する
  2.ヒトの心が成り立つ道すじ
   心の進化/私たちの祖先がもっていた心/比較認知科学という学問/大型類人猿とヒトの関係/比較認知科学プラスα/心のはたらきは遺伝する?/遺伝と環境/心の発達の起源をたどる/生まれつきとは何か
  3.言語に頼らずに心を研究する方法
   見る力を利用する/視線の動きをまるごととらえる/脳の活動を調べる
  4.ヒトの心が生まれる道すじ──四つの基本的事実

 第2章 共鳴する心
  1.「賢い」赤ちゃん
   生まれつきの能力──「生物」と「非生物」を区別する/ 「生物らしい動き」が好き/顔が好き/まねができる/行為を見抜く/感覚をつないで世界をとらえる/共感覚とは何か
  2.比較認知発達科学が解き明かしたこと
   顔と視線検出能力の進化的基盤/チンパンジーの赤ちゃんもまねをする/霊長類の妊娠と出産/危険な産声/微笑みの魔力
  3.二カ月目に起こる心の変化
   新生児模倣はなぜ消えるのか?/双方向的なコミュニケーションの始まり/見つめあいの進化/他者の反応を予期しはじめる/おなかの外で生き延びるために
 第3章 誕生前の心
  1.胎内の記憶
   胎児の頃を憶えていますか/胎児に心はあるのか/胎内の記憶/胎内で音はどのように聞こえるのか
  2.胎児期の発達
   エコーで胎児を観察する/行動の周期と体内時計/睡眠のパターン/胎児の目ざましい成長/胎児期の脳のかたちとはたらき/U字型の発達/口を動かす/自分の身体について学ぶ/胎児の予期的口開け/外からの刺激に応答する
  3.感情の起源
   赤ちゃんは痛みを感じるか/早産児という存在/早産児の痛みを検証する
  4.心の起源の新たな解明をめざして
   チンパンジーの胎児を観察する/脳の大型化は胎児期から始まる
 第4章 他者と重ねる心
  1.他者の行為を理解する
   生まれつき理解する/赤ちゃんは合理的に判断する!?/経験にもとづいて理解する/行為理解を促進する要因/目かくし実験
  2.行為を共有する──まねの始まり
   身体を重ね合わせるコミュニケーション/身体模倣の発達/サルはサルまねしない。チンパンジーは……/身体模倣はなぜ重要か/行為への「目のつけどころ」/ミラーニューロン/ミラーニューロンの進化──ヒト特有の心のはたらきへ/ミッシングリンク──行為予測から心の理解へ
 第5章 他者と向き合う心
  1.ヒトらしい心の発達
   心を通して世界を学ぶ/他者の心をモニターする/他者の心を操作する/他者に教える/チンパンジーの赤ちゃんの育ちかた
  2.ヒト特有の心のはたらきと言語
   言語はなぜ生まれたのか/チンパンジーの言語能力/模倣、身ぶり、そして言語へ/言語と模倣との発達的な関係
  3.ヒトらしい心が育つ条件
   時間をかけて心は育つ/ヒトの心が育つ環境/チンパンジーの心の育ちかた/ヒトの養育環境でチンパンジーが育つと?/ヒトの心が育つ条件──ヒトの心の発達の新たな科学的理解をめざして
 第6章 みなで育てる心
  1.ヒトの子育ての生物学的基盤
   生涯に産む子どもの数と出産間隔/ 「おばあさん仮説」──共同で養育するヒト/ 「母性」は本能か?/父親の役割
  2.ともに子育てするための条件
   霊長類にみる共同育児/野生チンパンジーが共同で子育てするための条件/他人の子どもを養育するヒト
  3.みなで育てる心に必要なもの
   信頼できる他者を見抜く/共感力/快の感情に共感するヒト/共同育児を可能にする物質?/ヒトらしい心を育てるために
   あとがき
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

umeko

13
赤ちゃんって凄い。とにかく驚嘆した。私も遥か昔は赤ちゃんだったことを考えると、「はじめに」でも書かれていたが、次世代に果たすべき責任の重さを痛感した。興味深い内容で、面白かった。2015/04/24

乱読家 護る会支持!

3
(1) 胎児期から新生児期にかけて、ヒトの身体や行動、心のはたらき、知覚、認知機能は連続的に発達する。 (2) 生後一年半にわたるヒトの心のはたらきの発達過程をみると、二度の飛躍期がみられる。生後二カ月目と九カ月目である。とくに生後九カ月目には、チンパンジーとは異なるヒトの心のはたらきが顕著に発達してくる。 (3) ヒトらしい心を発達させるのは、他者からの積極的なかかわりを特徴とするヒト特有の謎育環境である。 (4) ヒトらしい心を育む環境は、ヒト特有の心のはたらきによって成立している。2020/04/23

茶幸才斎

3
胎児期から新生児期、その後の生長過程におけるヒトの心の起源と発達について、他の霊長類と比較し進化論的考察を行う比較認知発達科学の成果を紹介した本。ヒト特有の他者の身体動作を模倣する能力は、他者の心を理解する基礎ともなり、更に言語の獲得にも関与すると主張する。私の息子は生後18ヶ月頃から、幾つかの物について勝手な呼び名を自分で付けて呼んでいた。模倣に頼らず新たな言語体系を一から発明できそうな勢いだ。模倣の力は言語の獲得時ではなく、発明された言語体系が成員の相互承認を経て集団内で定着する際に必要なのだと思う。2014/09/11

名秀子

0
ヒトは、胎児から赤ちゃんとして誕生するまで連続して、人間として生きていく能力を学習している。とても賢いのだ。その後の成長には、養育者の声かけや見つめ合いが欠かせない。赤ちゃんは、養育者からの感情情報を確実に受け取り、心を発達させている。養育者が赤ちゃんに向けている表情は、赤ちゃんの成長にはとても大切な要素なのだ。赤ちゃんの表情を見れば、大人の頬は自然に緩むようになっている。赤ちゃんを見たら、大いに微笑みかけよう。心の発達の助けになるから。 2015/05/05

azuazu1011

0
「教えるー教えられる」関係が2歳未満からすでにあるということのスゴさ!他者との関係性。模倣。他者理解。社会的コミュニケーションが言語獲得に及ぼす影響。利他性。共感力。信頼力。オキシトシンとプロラクチンの効果(母親も父親も!)。赤ちゃんの能力のすごさ(胎児の時から!)、生後2ヶ月、9ヶ月の発達の伸び。チンパンジーなど他の動物との比較もあるが、結局は、社会の中での関わりなのだと痛感する。2014/03/10

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