内容説明
心はいつ生まれ,どのように育つのでしょうか.サルやチンパンジーとヒトの赤ちゃんの発達をくらべると,ヒトらしい心が成り立ってきた道すじがみえてきます.相手の気持ちをくみとったり,「おせっかい」に関わろうとするのはヒトだけです.それはなぜか.赤ちゃんがみせる「まね」と「共感」をキーワードに,その謎にせまります.
目次
目 次
はじめに
第1章 心が生まれる道すじ
1.心について研究する
2.ヒトの心が成り立つ道すじ
心の進化/私たちの祖先がもっていた心/比較認知科学という学問/大型類人猿とヒトの関係/比較認知科学プラスα/心のはたらきは遺伝する?/遺伝と環境/心の発達の起源をたどる/生まれつきとは何か
3.言語に頼らずに心を研究する方法
見る力を利用する/視線の動きをまるごととらえる/脳の活動を調べる
4.ヒトの心が生まれる道すじ──四つの基本的事実
第2章 共鳴する心
1.「賢い」赤ちゃん
生まれつきの能力──「生物」と「非生物」を区別する/ 「生物らしい動き」が好き/顔が好き/まねができる/行為を見抜く/感覚をつないで世界をとらえる/共感覚とは何か
2.比較認知発達科学が解き明かしたこと
顔と視線検出能力の進化的基盤/チンパンジーの赤ちゃんもまねをする/霊長類の妊娠と出産/危険な産声/微笑みの魔力
3.二カ月目に起こる心の変化
新生児模倣はなぜ消えるのか?/双方向的なコミュニケーションの始まり/見つめあいの進化/他者の反応を予期しはじめる/おなかの外で生き延びるために
第3章 誕生前の心
1.胎内の記憶
胎児の頃を憶えていますか/胎児に心はあるのか/胎内の記憶/胎内で音はどのように聞こえるのか
2.胎児期の発達
エコーで胎児を観察する/行動の周期と体内時計/睡眠のパターン/胎児の目ざましい成長/胎児期の脳のかたちとはたらき/U字型の発達/口を動かす/自分の身体について学ぶ/胎児の予期的口開け/外からの刺激に応答する
3.感情の起源
赤ちゃんは痛みを感じるか/早産児という存在/早産児の痛みを検証する
4.心の起源の新たな解明をめざして
チンパンジーの胎児を観察する/脳の大型化は胎児期から始まる
第4章 他者と重ねる心
1.他者の行為を理解する
生まれつき理解する/赤ちゃんは合理的に判断する!?/経験にもとづいて理解する/行為理解を促進する要因/目かくし実験
2.行為を共有する──まねの始まり
身体を重ね合わせるコミュニケーション/身体模倣の発達/サルはサルまねしない。チンパンジーは……/身体模倣はなぜ重要か/行為への「目のつけどころ」/ミラーニューロン/ミラーニューロンの進化──ヒト特有の心のはたらきへ/ミッシングリンク──行為予測から心の理解へ
第5章 他者と向き合う心
1.ヒトらしい心の発達
心を通して世界を学ぶ/他者の心をモニターする/他者の心を操作する/他者に教える/チンパンジーの赤ちゃんの育ちかた
2.ヒト特有の心のはたらきと言語
言語はなぜ生まれたのか/チンパンジーの言語能力/模倣、身ぶり、そして言語へ/言語と模倣との発達的な関係
3.ヒトらしい心が育つ条件
時間をかけて心は育つ/ヒトの心が育つ環境/チンパンジーの心の育ちかた/ヒトの養育環境でチンパンジーが育つと?/ヒトの心が育つ条件──ヒトの心の発達の新たな科学的理解をめざして
第6章 みなで育てる心
1.ヒトの子育ての生物学的基盤
生涯に産む子どもの数と出産間隔/ 「おばあさん仮説」──共同で養育するヒト/ 「母性」は本能か?/父親の役割
2.ともに子育てするための条件
霊長類にみる共同育児/野生チンパンジーが共同で子育てするための条件/他人の子どもを養育するヒト
3.みなで育てる心に必要なもの
信頼できる他者を見抜く/共感力/快の感情に共感するヒト/共同育児を可能にする物質?/ヒトらしい心を育てるために
あとがき
参考文献
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