岩波新書<br> 地域に希望あり - まち・人・仕事を創る

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岩波新書
地域に希望あり - まち・人・仕事を創る

  • 著者名:大江正章
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2015/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004315476

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内容説明

地方消滅と名指しされた村を「守る側になる」と増えたIターン・Uターンの移住者.地元合意に立脚してプライド高き商店街を再生した,まちづくり株式会社.自然エネルギーや有機農業で半農半Xを推し進めるビジネスマインドのNPO――経済成長よりも共感に軸をおく人々のチャレンジは止まらない,その最新の現場報告.

目次

目  次
   はじめに

 序章 移住が増えてきた「消滅市町村」第一位の村──群馬県南牧村
   増田レポートの衝撃と誤り/年少人口率も高齢化率も日本一の村/村の将来を若手中心で考える/移住者が増えてきた/昔のままの姿に魅せられて/環境循環農法で野菜を作り、文化を守っていきたい/都会にしかないものは、何もない/増田レポートは乗り越えられる/動き出した自治体行政/変化が見えてきた
 第1章 山村に希望あり──島根県邑南町・旧弥栄村・旧柿木村
   女性と子どもが輝くまちづくり/A級グルメのまちづくり/耕すシェフと地域おこし協力隊の活用/移住者への手厚いサポート/トップランナーの課題/山村の暮らしに惹かれる若者たち/暮らし型有機農業と産業型有機農業/生き方志向と農業志向/兼業起農の意義と挫折/有機農業の村づくり/半農半Xが地域を支えていく/有機農業は環境保全型農業の延長ではない/農林大学校に有機農業専攻を設置/半農半Xを応援する/GNPからGLHへ
 第2章 自然エネルギーが地域を開く──福島県会津地方、岐阜県石徹白地区
   自然エネルギー電力会社の設立/基本ソフトを書き換える/一年半で合計二・五四MWの太陽光発電所が完成/積雪への対応/想いがつまった公共的株式会社の経営/一歩後退した小水力発電/手作りの水車でのライトアップから/事業の多様化と小売りのイメージ/人口が半世紀で四分の一に/マイクロ水力発電を活かした地域づくり/小水力発電所を運営する農協をつくる/成功のポイント/地域づくりの課題
 第3章 漁業者とNGOの協働で地域を結い直す──宮城県旧北上町、福島県相馬市
   死者・行方不明者は人口の約八%/漁協主導で復興へ/株式会社で販売まで手掛ける/協業化は広がるのか/地域漁業を誰がどう担うのか/NGOが果たした役割/模索しながら活動を続ける/被災者が被災者を支援する/それでも前を向く/リーダーの模索/NPOを基盤に多面的な活動
 第4章 地域再生の柱としての商店街──香川県高松市、宮城県丸森町大張地区
   殺到する視察者/老舗商店街の劇的な衰退/元凶はバブル/土地の所有権と利用権の分離を実現/街区ごとのコンセプトと仕組み/おとなのファンシーショップはわずか五坪/ハイレベルな“自治会立”診療所/地場産食材の適正な流通/商店街の自給自足/ここで暮らせて本当によかった/再開発事業への投資と効果/これからめざすまちづくり/中心市街地の活性化は農地の再生でもある/住民の七割が出資した「共同店」/売り上げは三割減でも、店はなくせない
 第5章 NPOが創り出す、ゆうきの里──福島県旧東和町
   地域を担う主体/放射能に対峙/土の力で放射能を抑え込む/自給的農を保証し、生きがいを創り出す/複数のリーダーたち/キャリア官僚からの転身/震災直後に来て農業で自立へ/半農半農家民宿/新規就農者をみんなで支える/震災から自力で立ち上がる/福島有機ネットの役割と意義/NPOと行政の協働/ゆうきの里の課題
 第6章 有機農業と地場産業の連携による地域循環型経済の誕生──埼玉県小川町
   有機農業の意義と現状/安定した有機農業の確立と新規就農者の増加/地元の米で造るから地酒/小規模農家を守る価格で大豆を買い上げて豆腐を作る/集落への広がり/企業版CSAの実現と集落皆有機の達成/町内での有機野菜の流通ルート/むらとまちを結ぶコーディネーター
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

28
いまの若者:集落はあたたかい。放っておかれないから、うれしい。農山村の高齢者は食べものを作れるし、火はおこせるし、燃料も自給できてカッコイイ(18頁)という。中山間地域共通の要素:木炭、木材、椎茸、わさび、山菜などが収入源で、農産物は自給的(53頁)。この季節は、あずき菜とかとうのごぼうとか。GNPではなく、GLHという地域総幸福が国民経済の新指標となることを提言する(64頁)。今のGDPでは先進国らしさが疑わしいので。2015/06/14

えも

17
大江氏の「地域の力」から7年後の続編。群馬県南牧村、島根県邑南村、会津、石徹白、宮城県北上町、高松市、福島県東和町、埼玉県小川町など、農業、林業、水産業のほか、商店街再建の事例もあり、現地へ行きたくなります。2016/05/28

メタボン

16
☆☆☆★ 取り組み方次第では中山間地域でも人口減少をとどめられることを示唆した本。ただし生活の価値観を何に置くかというのは個々人の考え方もあり、所得が低くても自然の中で毎日充実していると考える若者は、それほど多いとも思えない。スローライフにあこがれはするものの、半農半Xのように、やはり農業だけでは食べていけないのも事実。むしろ高松の丸亀の事例のように、地方都市の活性化が現実的な処方箋のような気がする。2015/09/16

ひかりパパ

7
「地方消滅論」がいかがわしいものだと考えるものとしては題名通り地方はまだまだ捨てたもんじゃないという感を強く持った。本書では企業誘致や公共事業依存の従来型の政策では未来がないことを示し、第二次、第三次産業偏重の経済成長路線から自然との共生を重視し農ー食ー自治をキーワードとする内発的発展路線への転換を説いている。本当の豊かさとは何かを考える一冊。2015/05/28

skunk_c

6
アジア太平洋史料センターという、鶴見良行、村井吉敬で知られる東南アジアでのNGO活動などで知られる団体に所属する著者が、自身の関わる東北復興NGOを初めとして、日本各地の山村、農村、地方都市の中で、独自の活動により活気をもっている地域を取り上げたルポ。半農半X、NPOや会社組織の立ち上げによる例、Iターンの若者を暖かく受け入れる最過疎地、有機農業の可能性など、批判的見方も織り込みながら、愛情溢れる地に足の付いた報告は読んでいてわくわくする。まさに『地方消滅』とは正反対の視点。机上の論理とは異なる現実だ。2015/07/25

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