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内容説明
人口減少、経済停滞を迎える日本。そういったなか、復活のカギをにぎるのは「文化」である。すでにヨーロッパでは、国家規模で文化芸術の推進に取り組んでおり、その成果は様々なところに散見される。また、日本でも地域に根差した文化による地方再生が実践されている。そういった現状を分析しつつ、人間国宝といった形のない伝統や、世界遺産に登録されるような景観を活かすだけではなく、私たちの身近にある小さな文化に注目し、そこから日本人がよりよく生きていくための姿を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
23
文化は、ささえ、つたえ、つくるもの(017頁)。文化は国を豊かにすると同時に人を育てる(051頁)。文化とはぬるま湯。心地よく、自然に楽しんでいること(067頁)。レヴィ=ストロース:人類社会を熱い社会(階級社会を乗り越えるエネルギーで前進)と冷たい社会(穏かな社会、祭りで解消)に分類。文化庁の新進芸術家海外研修制度(116頁)。ドイツは文化教育に力を入れる(152頁)。文化経済学で芸術文化が準公共財と位置づけられたのは、舞台芸術文化の非採算性にある(182頁)。篠山市のノオトという組織。2016/01/01
おせきはん
8
文化というと美術や音楽などの芸術をつい想像してしまいますが、コウノトリとの共生を目指す兵庫県豊岡市のような里山文化、生活文化も、日本らしさを支えるものとして大切にしていった方がよいと思いました。2017/12/15
Nobuko Hashimoto
7
大学の授業で、政治と文化、文化によるまちおこし、ソフトパワーとしての文化、サブカル外交といった話題をちょいちょい取り上げている。学生の関心が高く、食いつきが良い。かつて芸術系大学・学部で教えていたときは、実際に自治体の主催する催しに関わっている学生も多く、私の方が教えてもらうことが多いくらいだった。いまの本務校は留学生がとても多いのですが、日本のサブカルを通じて日本が好きになったという学生が多い。本全体としてはやや散漫な気もするが、授業ネタになる細かい事例や事実多数。備忘のためメモをブログにアップ。 2017/04/11
日向夏
6
意外と言ってはなんだけど、読みやすくておもしろかった。文化の隆盛が諸問題を解決できるわけではないけれど、日本や外国がどのように文化をとらえており、どのように保護しているのか、その違いなどが興味深い。人口減少のなか、中山間地域の街自体がなくなってしまう事態を迎えては、文化の保護もままならないだろう。でも、クラシックのホールもほぼ埋まるし、企画展は確かに行列だし、日本人の文化への興味と投資額は意外に高い。まだまだ文化が経済や町おこしの起爆剤になる可能性はありそうだ。2019/02/25
yo
5
面白い本ではあるが、少し全体の統一感が薄い。ソフト・パワーとか書いて借るから、ジョセフ・ナイ式の国際関係観に基づいて、文化立国の最終目標はソフト・パワーを活用した国家のパワーの増大、という話をするのかと思ったが、どうやら違うらしかった。第1章において、「国の豊かさとは何か」と題して検討しているし、終章の方では地方が「元気になる」といったワードが目立つ。こういった、「豊か」で「元気」な国というのが目指すべきイメージなのだろうが、それは、想像して描写することはできても、国家の政策目標として定式化されていない。2015/12/17




