新☆ハヤカワ・SF・シリーズ<br> 神の水

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新☆ハヤカワ・SF・シリーズ
神の水

  • ISBN:9784153350236

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内容説明

近未来アメリカ、地球温暖化による慢性的な水不足が続くなか、巨大な環境完全都市に閉じこもる一部の富裕層が、命に直結する水供給をコントロールし、人々の生活をも支配していた。米西部では最後のライフラインとなったコロラド川の水利権をめぐって、ネバダ、アリゾナ、カリフォルニアといった諸州の対立が激化、一触即発の状態にあった。敏腕水工作員(ウォーターナイフ)のアンヘルは、ラスベガスの有力者であるケースの命を受け、水利権をめぐる闇へと足を踏み入れていく……。『ねじまき少女』で化石燃料の枯渇した世界を描いた作者が、水資源の未来を迫真の筆致で描く傑作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

神太郎

34
かなり前に買ってようやく読み切った。序盤はだるかったのだが、中盤にさしかかるや面白さが増していく。人間にとっていちばん重要なもの、それは水だ。その水が究極の資源となり、水が大金で売買されていく時代の中、水道会社の歯車として働く水工作員、水問題の取材を行うジャーナリスト、そして、水不足の中を生きる難民の少女。三者の物語が交錯して行くにつれて物語は緊張感が増していく。持続可能な社会を目指す世界がいずれは直面するかもしれない事態。その時人は、州は、国家はどうなるのか。非常に面白く読んだ。2021/07/29

ちょき

33
読み終わって全体を俯瞰してみて最初の感想は「長い…。」である。温暖化が進み砂漠化したアメリカ南西部で水利権を争う人々。人も街も荒廃していて全体を覆う終末感がマッドマックスか北斗の拳かといった様相。登場人物が全員利己的で、自分のことばかり考えておりなんかそのあたりはちょっと馴染めなかったかなと思う。作者の名前を見るたびなんか美味しそうな肉の絵が浮かぶ。SF作品としては、アクションありの、未来感ありの、色気ありで完成度は高い。だが、繰り返すが長い…。長編にしてはストーリーが緩慢。2016/02/10

Tui

27
水資源が枯渇しつつある近未来のアメリカ南西部アリゾナ州。砂嵐や竜巻が襲い、限られた富裕層のみが環境循環式のコロニーに住む。水の利権のために州同士が対立し、ときにマッドマックスさながらの衝突さえ起きる。と何やら荒唐無稽っぽい設定だけど、実は砂漠を無理やり緑化しているアメリカではすでに水不足が深刻な問題となっており、起こり得る姿かもしれないのだ。敏腕水工作員、女性ジャーナリスト、テキサスからの難民少女らが複雑に絡み合うスリリングな展開。内戦状態を操っているのが各州の水資源公社というのが、ありそうで怖い。2015/12/23

アルビレオ@海峡の街

24
とてもリアルかつ、エンターテイメント性の高い作品だった。すぐにでも映画化できそう。水の枯渇に苦しみ、水利権を巡って州同士の争いが絶えないアメリカ。そこで暗躍するウォーターナイフ。バチガルピ氏は様々なレポートなどの事実を元にこの物語を書き上げている。蛇口から滴る一滴の水も大切にしたくなる作品。2015/12/13

なしかれー

21
水をめぐる話。舞台はアメリカ南西部。水資源が枯渇しかけ、水の供給は富裕層によりコントロールされ、それはつまり、人の生活を支配することと同じだった。そんな水を支配するひとり、ケースの命を受けた水工作員と都市の崩壊を取材するジャーナリスト、それから難民の少女の物語。日本に住んでいたらあまり実感することはないけれど、地球の水不足は深刻なことを改めて突きつけられる。2015/12/28

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