ちくま新書<br> 地方創生の正体 ――なぜ地域政策は失敗するのか

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ちくま新書
地方創生の正体 ――なぜ地域政策は失敗するのか

  • ISBN:9784480068576

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内容説明

「地方創生」で国はいったい何をたくらみ、地方をどう変えようとしているのか。国はこれまで自治体を様々な手段で手なずけてきた。ここへ来てさらに「選択と集中」の効率至上主義の論理で、地方を侵略しようとしている。住民は、そして自治体はこの動きにどう立ち向かっていけばよいのか。気鋭の社会学者と行政学者が、地域政策は失敗の歴史であったことを検証。地方創生から震災復興まで、地域社会救済という名目でなされる国策の罠を暴き出し、統治構造の病巣にメスを入れる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

大先生

11
【人口を増やして地方を活性化させようとする「地方創生」は良いことか?日本全体の人口減少が不可避である以上、地方が互いに競い合ったところで、ほとんどの自治体で人口が減少する。地方創生とは「選択と集中」という効率至上主義を持ち込む、地域への侵略ではないか?地方よ、国に逆らう勇気を持て】という趣旨の本です。地方創生(に関する国のスタンス)の問題点はよく分かりましたが、根本的な解決策は提示できていないように思われます。地方創生に参加しなければ解決というものではないですから(汗)2022/12/13

takizawa

6
地方創生政策についての対談本。予想以上に金井先生発言が過激で面白かった。本書の特徴は地方創生を国と地方、地方と住民といった統治構造のあり方と絡めて論じる点。自治体政策が一般財源主義・ルール配分主義から特定財源主義・競争主義(裁量的配分主義)に移行する中で(p.205)、基礎自治体としてはどう振る舞うべきかが書かれている。「日本の自治体が強力なコミュニティを作れないのは土地利用計画権・制限権がないから」(p.291)という指摘は谷口功一先生の『ショッピングモールの法哲学』とも通低する問題意識ですね。2016/01/31

ぐっち

6
地方創生とは一体なんなのか?この本には理論立てて書かれている。国、県、市町村という行政システムの問題点についてはよくわかったが、地域活動に取り組んでいる住民の存在を忘れているのではないかとも思った。2016/01/21

よし

4
「地方消滅の罠」の著者、山下裕介さんと「原発と自治体」の著者、金井利之さんによる震災復興・地方創生論。「現政権になってから地域政策が変わった」とする山下さんと「国と地方の関係は従来から変わっていない」とする金井さんの違いはあるものの、地方を巡る課題についてお二人がうまく論点を整理しながら対談している印象を受けました。地域社会を維持するには市町村行政がしっかりしなければならないという点はその通りだと思います。金井さんも触れている増田寛也・冨山和彦著「地方消滅 創生戦略篇」と読み比べても面白いかもしれません。2015/11/08

Tatsuya Hirose

3
【地方創生の正体】 この記事(https://todai-umeet.com/article/36553/) を読んで、金井教授の考え方に興味が湧いた(共感とは違う)ので読んでみた。「地方創生とは国が選択と集中の効率市場主義の論理で地方を侵略しようとしている」という感じの内容。そこまで「国」を否定することはないのでは?という印象は拭い去れない。ただ、「学者というプロとして原理原則で地方創生を分析するとこうなる」と感じられる。そして、やはり興味深い。こういう原理原則を説くプロの存在は必要なんだろう。2019/06/01

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