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内容説明
「地方創生」で国はいったい何をたくらみ、地方をどう変えようとしているのか。国はこれまで自治体を様々な手段で手なずけてきた。ここへ来てさらに「選択と集中」の効率至上主義の論理で、地方を侵略しようとしている。住民は、そして自治体はこの動きにどう立ち向かっていけばよいのか。気鋭の社会学者と行政学者が、地域政策は失敗の歴史であったことを検証。地方創生から震災復興まで、地域社会救済という名目でなされる国策の罠を暴き出し、統治構造の病巣にメスを入れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山口透析鉄
26
これも市の図書館本より。アベ政権下の地方創生、現首相も担当大臣でしたが、この対談本で指摘されている批判の通り、何も生んでいません。政治主導で選択と集中といっても大学の問題等と一緒で、改善点が出ない理由が一定分かる本になっています。単なる上位下達ではない内発的な動機がないと活性化する筈もないです。 ロバート・ダール「統治するのは誰か」(行人社)あたりは読んでみたいです。 福島第一の壊滅的大事故による避難とそれに関わった地方自治体の話題も多いですが、これはちょっと個人的には物足りないです。(以下コメ)2024/12/05
大先生
12
【人口を増やして地方を活性化させようとする「地方創生」は良いことか?日本全体の人口減少が不可避である以上、地方が互いに競い合ったところで、ほとんどの自治体で人口が減少する。地方創生とは「選択と集中」という効率至上主義を持ち込む、地域への侵略ではないか?地方よ、国に逆らう勇気を持て】という趣旨の本です。地方創生(に関する国のスタンス)の問題点はよく分かりましたが、根本的な解決策は提示できていないように思われます。地方創生に参加しなければ解決というものではないですから(汗)2022/12/13
takizawa
6
地方創生政策についての対談本。予想以上に金井先生発言が過激で面白かった。本書の特徴は地方創生を国と地方、地方と住民といった統治構造のあり方と絡めて論じる点。自治体政策が一般財源主義・ルール配分主義から特定財源主義・競争主義(裁量的配分主義)に移行する中で(p.205)、基礎自治体としてはどう振る舞うべきかが書かれている。「日本の自治体が強力なコミュニティを作れないのは土地利用計画権・制限権がないから」(p.291)という指摘は谷口功一先生の『ショッピングモールの法哲学』とも通低する問題意識ですね。2016/01/31
ぐっち
6
地方創生とは一体なんなのか?この本には理論立てて書かれている。国、県、市町村という行政システムの問題点についてはよくわかったが、地域活動に取り組んでいる住民の存在を忘れているのではないかとも思った。2016/01/21
Tatsuya Hirose
4
【地方創生の正体】 この記事(https://todai-umeet.com/article/36553/) を読んで、金井教授の考え方に興味が湧いた(共感とは違う)ので読んでみた。「地方創生とは国が選択と集中の効率市場主義の論理で地方を侵略しようとしている」という感じの内容。そこまで「国」を否定することはないのでは?という印象は拭い去れない。ただ、「学者というプロとして原理原則で地方創生を分析するとこうなる」と感じられる。そして、やはり興味深い。こういう原理原則を説くプロの存在は必要なんだろう。2019/06/01