内容説明
特徴といえば農業大学があることくらいの田舎町バラクラヴァ。この町が活気づく季節――クリスマスが今年もやってきた。ふだんは静かな町全体がクリスマス仕様に彩られ、見物客の大群が押し寄せる季節が。毎年くりかえされる大騒ぎにうんざりしていた大学教授のシャンディは、とてつもなく派手なイルミネーションで自宅を飾りつけて妨害を試みるが、それが事件を招いてしまう。休暇の船旅を早めに切りあげた教授がわが家で目にしたのは、親友の妻の死体だった……! アガサ賞生涯功労賞作家の出世作となった、万人に愛された傑作シリーズ第1弾。/解説=浅羽莢子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
344
KUにて。シニカルでいて淡々とした世界観は嫌いじゃないが、いかんせん登場人物がどうにも似通っているうえ、「この人登場する意味あった?」というキャラクターがいて、何度も登場人物紹介ページに戻りながら読んでいた。で、結末はそれほど驚きがあるわけでもなく、ちょっと消化不良。クリスマスにうんざりしている男やもめのオッチャンというキャラクターは好きだし、大学を中心とした田舎町のクリスマスという舞台設定も気持ちを高めてくれるが、それだけにいろいろ残念だったかな。2016/09/08
ナミのママ
63
〈シャンディ教授〉シリーズ1作目。農業大学のある町、その通りには大学関係者が多数暮らしている。恒例のクリスマス飾りつけが苦手な教授は、いたずらをして旅に出る。そして帰宅したらなんと自宅に死体があった。1978年の作品、セキュリティや通信手段がのんびりしていて慌ただしいこの時期に癒される。殺人事件や物騒な事が起こるのにとげとげしさがない。56歳独身という主人公のキャラクターもいい感じだ。シリーズ10作品まで出ていたのかな。今、読んでも違和感なし。このユーモアは楽しい。2023/12/13
つたもみじ
30
クリスマスのイルミネーションが観光資源になっている田舎の大学町で起きる殺人事件。旅から帰ると自宅のソファ裏で親友の妻が死んでいた事から事件に巻き込まれ、解決に走り回ることになるシャンディ教授。おまけにヘレンとのロマンスもあり。軽めのミステリでした。キャラクターに個性があって面白いのだけれど、鬱陶しいと感じる事も。家政婦が封をした手紙を勝手に開けて読んで「雇い主は頭がおかしくなった」とか…お前がなっていう。プライバシーがなさ過ぎて、私はこの町には住みたくない。後半の急展開はスピード感があって良かった。2016/05/22
瀧ながれ
28
大学教授のシャンディは、街中の家がクリスマスイルミネーションで飾られ、自分の家もそうするようにとせっつかれていた。そのしつこさにキレた彼は、家をサンタやトナカイの人形でめちゃめちゃに飾り付けて、旅に出てしまう。数日後帰宅すると、居間で知人女性が死んでいた。…詮索好きでおしゃべり好きな住人によって、いろんなことが(尾ひれ付きで)筒抜けになってしまう、田舎街の風景が、ちょっとイラッとするくらい見事に描かれている。一見、個人主義で皮肉やのシャンディ教授も、結局まるめこまれて働いてしまう、同情申し上げる。2016/01/17
しましまこ
25
表紙買い。農業大学がある田舎町、56歳独身、何事も数えなくてはいられない応用土壌学のシャンディ教授が主人公。新種の巨大カブの特許で結構なお金持ちらしい。町をあげての電飾キラキラ・クリスマスビジネスに協力をしないと、18年間で73回目の苦情(ちゃんと数えてる!)をきっかけに、教授がとったユーモアたっぷり、爆笑の仕返しがえらいコトに…ラブもあります。楽しいコージーミステリー。トンデモ学長夫妻とちゃっかり曲者・エイムズ教授、まさかの癖もちヘレンさんも素敵。面白かった。2018/09/08