内容説明
荒れ果てた洋館で、学校の女王・竹中真利子が首なし死体で発見された! 同級生の奥本美奈は、死体を発見した画家・明石尚子と、事件の闇の部分へと踏み込んでゆく。洋館に越してきたイカれた彫刻家、自称刑事の謎めいた男――疑わしい人物ばかりが現れてきて……。鮎川賞作家が紡(つむ)ぎ出した、妖しくも美しく、せつない本格ミステリの悪魔的問題作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
300
★★★☆☆ 少し変わった女子高生とその周囲の不思議な人間模様プラス殺人事件といった感じで、表紙も含めてラノベ感あり。しかし内容は多重解決ものの本格ミステリだ。 とにかく登場人物全員が歪んでいて、読んでると眩暈がするような感覚に。言葉のチョイスに対する違和感から真犯人は予想できた。しかし、首切断の理由だけは理解不能だったところ、まさかの強引すぎる真相!しかも最初から大体バレてたとか…警察に早く言って下さい! 多重解決ものは元々好きなので、岡辰子の件など本筋以外をもう少し深掘りすればより良くなった気がする。2024/01/20
雪紫
62
再読。静かなようで激しく、狂った世界(飛鳥部さんはこれがデフォルトです)。やっぱり飛鳥部さんのミステリはこれが一番好きだわ。というのを再確認。百合的な意味でも。伏線は今でも「わかるかーい」と思う意味でも(飛鳥部さんの百合ミス好む時点で頭奇妙しくない?と言うツッコミは受け付ける。わたし自身そう思ってるし)。2022/03/01
ミーホ
30
[Kindle]飛鳥部さん3冊目。「N・Aの扉」が手に入らずこちらを。ミステリーというより、思考の歪みをコラージュ的に楽しむ本w これの前に読んだ「バベル消滅」の方が面白かったかな。ラストに辿りつくまでの不穏な空気がすごく好きなんだけど、実はこうでしたーという真相がどうでもいい感じになるのが全く同じ印象。正直ミステリー要素はおまけ程度なのに、また読みたくなってしまう不思議な文章。なんなんだろうこの吸引力は。入手可能なヤツは読破したい。2017/03/19
安田
20
美術館のカフェでアルバイトをしている美奈は、画家の明石尚子からモデルを依頼される。尚子の隣家で、美奈の同級生、真利子の首無し死体が見つかった矢先の出来事だった。事件に興味を持つ尚子に巻き込まれ、一緒に調査を始める美奈だったが…。女子高生・百合・バイオレンス・ネクロフィリア・猟奇殺人。これまで読んだ飛鳥部作品の中でも特に変態度が高く「濃い」一作。メインのネタには先例はあるものの、とにかく、あまりにも大胆な伏線に解決編で愕然とさせられる。あんなに堂々と書かれていたのに、どうしてスルーしてしまったのだろう。2017/10/22
モルワイデ鮒
16
男と生首と女と絵と砂漠の薔薇。表紙のインパクトである程度覚悟していた通りの甘苦いような生臭くて冷えきった犯行時刻メモって果たして意味有るのか不安な暴力的な本格魂で遠回しとあからさまに矢継ぎ早に襲われて七度読み必至なフワンフワンでグラングランな読後感。2023/11/02