内容説明
実家の床下から偶然見つかった古びた骨壷には、なぜか私の生年月日が記されていた……。旧家に残る恐るべき因習と哀しいまでの親心を描いた表題作をはじめ、心理の奥底に潜む恐怖を通して人間の本質に迫る傑作ホラー短編集。「私の骨」「ゆきどまり」「醜骨宿」「髪の森」「ささやき」「おそれ」「奇縁」の珠玉の七編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
387
うーん、びみょ。『おそれ』の各話は怖かったけど、それ以外はそんなに。心霊現象云々というよりも、人間の心理が与える恐怖にフィーチャーされているので、いわゆるホラー小説だと期待して読むと肩透かしを食らうかもしれない。また、文章の意味がわかりにくかったり、いまいち何がしたかったのかよくわからない話もあり、小説としてそもそもいかがなものか?という側面もあった。ただ、『おそれ』の中に出てくる“恐怖”のメカニズム的な部分に言及した個所はちょっとおもしろい。2016/10/23
ままこ
90
伝承や因習、霊的な世界、人の業の深さを絡めたホラー短編集。「私の骨」恨みは深い。「ゆきどまり」哀しいがラストは彼女にとっては救いだったかも。「ささやき」番長という言葉が時代を感じさせる。「髪の森」覚めない悪夢。一番ゾッとしたのが「おそれ」これは誰の立場にいても背筋が凍る。「奇縁」人は見かけによらず。嫌な恐ろしさだった。2019/08/25
mii22.
58
神や霊や化物より、怖いものは生きている人間の欲望だと思い知らされた。特に「おそれ」「奇縁」は怖かったが、その一方でなるほどと唸る面白さがあった。2018/08/18
わか
47
ネットのお友だちが読んでいて興味を持ったので図書館で借りてきました。東北地方が舞台。九州に住む私にとって馴染みのない場所だけど、それでも充分怖かったです。背筋がぞくぞくっとするような・・。骨とか人形とか大木とかモチーフの使い方が上手いと思った。失踪した知り合いを探しにいき、ミイラ取りがミイラになる「髪の森」が一番怖かった!そっちはだめーっていう方向に主人公がいっちゃうんですよね。「奇縁」は生きている人間が一番怖いってことを思い知らされました。こんな人いたら怖すぎる!久々のホラーでした。2015/11/01
そら
21
7つのホラー短編集。特に強烈な印象はないけれど、どの話も雰囲気があるしオチが怖くてざわつく感じ。面白かった。「醜骨宿」~滝夜叉姫の伝説は好きなので嬉しかった。「髪の森」~山の神様の凄さ。天狗ノオトを思い出した。「おそれ」~ギョッとする違和感、異常性。この怖さはやみつきになりそう。。2017/02/17