内容説明
近代を代表する耽美派の詩人でありながら、同時代の白秋・茂吉・啄木らに比べ、今日ほとんど顧みられることのない木下杢太郎。中野重治の言葉に導かれ、著者はこの不遇の詩人の作品と生涯を追い始めます。詩人としてだけではなく、皮膚病の医学者、膨大な植物画を遺した画家としても活躍した「もう一人の巨人」の全貌に、評伝の名手が迫った、極私的詩人論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kiho
12
初めて知る作品と詩人…何気なく手にしたことで1人の人生に触れられた感⭐言葉だけでなく遺した絵も印象的だ。2016/04/08
Ryoichi Ito
3
作家・岩阪恵子による木下杢太郎の評伝。これまで「百花譜」を通じてしか木下杢太郎のことを知らなかったが,本書によりその生い立ちから死までを知ることになった。木下は医学部教授と文芸家の2つの顔を持っている点では森鴎外に似ている。しかし30代以降はほぼ医学に専念した。杢太郎は高校進学では画家になりたいと望んだが,家族に反対され,大学進学に際してはドイツ文学選考を希望したがやはり家族の猛反対で医学部に進んだ。また,妻は次姉の夫の連れ子であり,姉夫婦の強いすすめで結婚した。このような事情は生涯の悔恨として残った。2025/05/05
hasegawa noboru
2
木下杢太郎という忘れられた詩人を(医科学者でもあった)岩阪さんらしく控えめに再発見している。私は文学史的知識の欠片しかなく無論読んでいない。晩年の「残響」という随筆の引用部分(=孫引き)〈ちるや玉ゆら夕立の雨/雲風もみはてぬ夢とさむる夜に/我かけなれやふくるともし火/これは明応八年(一四九九年)宗祇七十九歳の時の独吟「山何百韻」の最後の句である。なほその前の三句を引くと「つれもなき人に此世をたのまめや」「しぬる薬は恋にえまほし」「蓮葉の上をちきりの限にて」といふがあり、それに上記の三句が続くのである。〉2015/10/06
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