内容説明
福沢諭吉は朝鮮侵略論者か、独立の支援者か――。「絶えざる転向」により多くの解釈を生むことになった福沢のアジア論。本書では、福沢と朝鮮で開化派と呼ばれた人々との関係と、『時事新報』の社説・論説を軸に、日朝清関係史のなかでそれを読み解いていく。そこに見えてきたのは、福沢のアジア論に貫徹する思想であり、「リベラルな帝国主義者」という19世紀的な立場が挫折してゆく過程であった。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
11
国際背景とともに福沢諭吉の時事新報社説を分析し、朝鮮改造論と脱亜論の動きを「リベラルな帝国主義」と位置づける。ヨーロッパとの対比の中で意識された「アジア」という曖昧な概念の中で、「文明」「独立」という西洋モデルの国の形をいかに実現させるかが明治期日本の課題であった。2020/07/05
さとうしん
2
福沢諭吉の朝鮮論と言えば「脱亜論」が知られるが、それ以外の朝鮮関係の社説はどういう内容で、どういう背景のもとで書かれたのか、そして福沢自身と朝鮮人との関わりはどのようなものだったのかを探る。当時慶應義塾に朝鮮からの留学生が相当数存在し、兪吉濬のように福沢の息子ともどもの付き合いとなった者や、祖国の政府高官となった者も存在するということで、当事者として、実際に交友を持った朝鮮人や、日朝清三ヵ国間の関係に散々振り回された上での「脱亜論」ということになりそうだ。2015/12/21
mk
0
西欧の「文明」に染まって支配する側となるか、中華の「野蛮」に留まり支配される側となるか…二元的な価値判断のなかでゆれ動き続けた19世紀後半の《日朝清》三国志。「リベラルな帝国主義者」福沢諭吉の心に芽生えた朝鮮改造熱の高まりから、その消沈までの顛末を素材にその経過を論じる。実直な史料分析を通じて手堅く論証されており、現在これからの東アジア地域を省みる上でも、100年前のアジア「外交評論」の実態に迫った本書は貴重な報告である。しかし、結局最後まで現地と没交渉の福沢を「アジア主義者」と見ることは贔屓目が過ぎる。2016/11/19
takao
0
☆朝鮮の併合には反対するものの、日本の同化主義的朝鮮植民地支配の原型として位置づけられる。 2019/08/05
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