実業之日本社文庫<br> 煽動者

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実業之日本社文庫
煽動者

  • 著者名:石持浅海
  • 価格 ¥586(本体¥533)
  • 実業之日本社(2015/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784408552439

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内容説明

そのテロ組織の名は「V(ブイ)」。目的は、流血によらず現政府への不信感を国民に抱かせ、その転覆をめざすこと。メンバーは平日、一般人を装い、週末だけミッションを実行。各人はコードネームを用い、お互いに本名も素性も知らない。僕――片桐も組織の一員で、平日は30台前半の会社員、週末はコードネーム「春日」として活動している。この週末、兵器製造のため軽井沢の施設に招集されたのは僕を含め八人。見た目は60代から20代まで、やはり週末テロリストの男女が召集された。施設は表向き企業の研修所となっており、外部からの侵入は不可能。出入りの際は、八人のメンバーの掌紋認証が記録される仕組みになっている。今回のミッションは、<子供>という切り口から、政府を揺さぶり、言わずもがな流血や殺戮をしない<兵器>を製造することだった。僕たちメンバーによる侃侃諤諤の作戦会議が終了し、兵器製造に取りかかっている最中、メンバーの一人が扼殺される事件が発生した。施設は部外者の侵入は不可能、テロリストが警察を呼ぶわけにはいかない。犯人はメンバー七人のうちの誰かだが、お互いに素性を知らないメンバー間でなぜ殺人が起こるのか、誰も動機を説明できない。肝心の探偵役は不在、つまり全員で推理をするしかない。そして組織の<兵器>製造命令は絶対。週明けには一般人に戻らなければならない刻限下、閉鎖状況で犯人推理の頭脳戦が始まった――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aquamarine

62
テロリストシリーズ、「撹乱者」の続編ということのようですが特に読んでいなくても問題はないです。共通して出てくるのは串本氏のみ。指令をひとつひとつ別視点で語っていた前作と違って、今回は長編でしかもクローズドサークルで殺人が起こってしまいます。参加者それぞれの本名すら知らない状況で理詰めで犯人を導き出すという驚きの本格。出た答に納得させられてしまった事、組織の実態がなんとなく見えたこともあって前作と違って読後はすっきりです。ラストの一行も悪くないです。2016/02/27

ジンベエ親分

31
「攪乱者」に続くテロリストシリーズ第2作。視点人物が短編ごとに変わった前作とは異なり、今度は固定視点の長編。それもクローズドサークル。そりゃテロ組織だから、殺人事件が起きても警察には通報できないよな。飛躍やハッタリも駆使しながら犯人を特定する手法は碓氷優佳シリーズとも通じるものが。終盤明かされる組織の正体は驚いたが、犯人そのものは読者にも消去法で分かるので、驚きはさほどない。最後の1行には仰天したけど(笑) それにしても、これは「本格」の衣を着ているけど、実態は超社会派だね。面白かった。2018/01/06

Walhalla

30
『テロリスト』シリーズの2作目です。テロといっても、絶対に国民を殺めたりはしない方法で現政府を揺さぶろうと知恵を絞る様子は、石持浅海さんの作品らしく、あらゆる可能性を見逃しません。そして、物語はお得意の特殊なクローズドサークルに発展し、まさに真骨頂といえる作品に仕上がっていました。とても面白いです。私ですが、犯人は分かりませんでしたが、コードネームの由来にはすぐに気付いたので、ちょっと勝った気分です。ゾッとするようなエンディングもあり、最後の最後まで楽しめました。2023/04/12

じゅんぢ

30
事件内容も組織の正体も気になって一気に読めた。けどかんじんの真相がいまいちだった。それでもなぜか読んでしまう石持作品。2017/07/19

left7

26
これまた石持さんらしい作品でした。謎の解決を会話と論理だけで展開していき、それを読者に納得させてしまうお馴染みの流れで、石持作品のファンの私としては石持さんに期待した通りのもので、とても安心して読めました。解決の最後は石持さんらしくない部分があったようにも感じましたが、結末が想像を膨らませるものでいつもの石持さんの作品にはあまりない終わり方で少し新鮮に感じました。なかなか面白かったです。2016/10/26

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