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内容説明
福島の原発事故は、原発推進政策に潜む「犠牲」のありかを暴露し、沖縄の普天間基地問題は、日米安保体制における「犠牲」のありかを示した。もはや誰も「知らなかった」とは言えない。沖縄も福島も、中央政治の大問題となり、「国民的」規模で可視化されたのだから――。経済成長や安全保障といった共同体全体の利益のために、誰かを「犠牲」にするシステムは正当化できるのか? 福島第一原発事故で警戒区域となった富岡町などで幼少期を過ごした哲学者による、緊急書き下ろし。【目次】はじめに/第一部 福島/第一章 原発という犠牲のシステム/第二章 犠牲のシステムとしての原発、再論/第三章 原発事故と震災の思想論/一 原発事故の責任を考える/二 この震災は天罰か――震災をめぐる思想的な問題/第二部 沖縄/第四章 「植民地」としての沖縄/第五章 沖縄に照射される福島/あとがき
目次
はじめに
第一部 福島
第一章 原発という犠牲のシステム
第二章 犠牲のシステムとしての原発、再論
第三章 原発事故と震災の思想論
一 原発事故の責任を考える
二 この震災は天罰か――震災をめぐる思想的な問題
第二部 沖縄
第四章 「植民地」としての沖縄
第五章 沖縄に照射される福島
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
134
筆者は哲学者として、現代日本の構造は「犠牲のシステム」(或る者たちの利益が、他のものたちの生活を犠牲にして生み出され、維持される)の上に成り立っていると指摘する。東京電力の原発が設置され、今回の地震と津波で多大な犠牲を強いられた(今も続いている)福島(原発は福島に限らないのだが、いわばそのシンボルとして)と、在日米軍基地の74%が置かれた沖縄が、その最も典型的なものだと述べる。この構造を容認してきた(いる)私たちには、実に辛く厳しい指摘だが、まさしくその通りだ。さて、私に何ができるだろう。2012/06/26
佐島楓
16
違和感を感じる箇所も少なくなかった(特に天罰論のあたり)が、見て見ぬふりを続けてきた、隔離して押し付けてきたという罪悪感は私にもある。日本人の大部分に共通することだと思う。2012/04/24
のの
13
沖縄と福島を、意味はちがうといえども同じ「植民地」という言葉で見ることに違和感を覚えた。中央から「犠牲」を押しつけられる周縁という意味での「植民地」と思っていると琉球処分が出てくるし…そうなるとまた「植民地」の意味は変わってくると思う。けれど3.11の際の「日本人素晴らしい」というナルシシズムにぞっとしたり(そこにいるのは日本人だけじゃないだろう、と思った)、沖縄だいすき!といいながら負の面は全然見ようとしない本土の人間に、同じヤマトンチュとして憤りを覚えたりもしていたので、この本はとても興味深かった。2012/05/18
けんとまん1007
11
これは、読むべき本だと思う。子ども達(中学生以上かな)にも読んでほしい。伝わることが、たくさんある。何かを犠牲にし、それを美化したり、全く無視して成り立つのが、今のシステム。福島・沖縄は、それが端的にでているところ。もちろん、それと基本的な構造が同じことは、やまのようにあると思う。今、話題の原発再稼動についてもそうだ。廃棄物のことは、いっさいに触れないで、先に進めている。わかっているからこそ、意図的に触れないのだ。そんな姑息な人間の何と多いことか。2012/06/20
d0g_ville
10
内容は新書レベルにとどまっている。また、以下の話は犠牲のシステムという主題とは関わらないが、少々述べさせて頂く。まず、放射線量の安全基準について、自分は専門家じゃ無いので正しいかどうか判断できる立場には無いという言葉とは裏腹に、国側が設定した基準を批判しだす有様については違和感を感じざるを得ない。更に、著者が依拠するデータや情報の出自が、広瀬隆のような「専門家」とあっては、更に当の本への疑念を深めざるを得ない。決して「御用学者」の肩を持つわけではないが、うーん、この「同じ穴の狢」感。2014/08/25
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