内容説明
私は己を語ろうと決意した。憎悪すべき己の過去を。生きようとする生命の火を、情熱を燃え上がらせるために――。終戦直後から五年に亘り執筆した、著者の代表作ともいえる自伝的長編小説を初文庫化。没後50年記念刊行。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スノーマン
35
暗い話は嫌いではないけど、あまりにもウジウジと自己の意識を見つめ煮詰まりすぎているので、読んでいて疲れた…。幼いからといって誰もが無邪気ではなく計算したりプライドあったりして大変なんだよな…。私も変に小賢しい子供だったと思うけど、その時に空気読んだり周りに気を使ったりしてそのパワーを使い果たしたのか今は結構無神経(笑)それにしても、校長のあだ名が良かった。逆蛍のギャボ!(笑)ビカーンとその校長が浮かび上がるようだった。2016/02/09
みや
2
40歳を迎えて自身に訪れた「突然の老衰」への強い危機感に突き動かされ、奮起を期して出生から府立一中時代までの自己形成の軌跡を総括する自叙伝。文士らしく過去の自分の内心を抉り取り、時おり逡巡しつつも赤裸々に記していく。幼少期から思春期にかけての過剰な自意識や複雑な羞恥心は誰もが抱くものだろうが、著者のそれは質的にも量的にも尋常でなく、そのうえ自覚的・自嘲的であるところに特異さがある。読むほどに、懇切丁寧で破綻のない文章に生真面目さを感じるし、たまに現れるストレートな自慢話には愛おしさすら覚えた。2018/12/11
Lieu
1
出生の秘密と過去の様々な恥と、そうしたことを告白することへの羞恥が混ざっていて、「可哀想な私」に浸ることのできない、自己に対するメタ的な視点を持たずにはいられない、インテリの宿痾を感じた。とはいえ冷たく狡い感じではなく、知性と感性を総動員して自己を剔抉しようという熱量が感じられ、百年前のことなのに読んでいてとても人ごととは思えなくなる名作である。2022/02/09
くまこ
1
時代は違っても子供の頃に考えていることは皆同じなのかなと思った。悲しさとおかしさが背中合わせになっているような感覚で、笑いながらも少し鼻がつーんとするようなそんな感じがした。創作も入っているのだろうが自己のさらけ出し方が潔くてこれこそが作家というものだと思った。2015/11/03
Wataru Nakazawa
0
高見順の浅草ものは読んだことがあるが、幼少年期を扱った本作は初読。どろどろと暗いが、一方で自分に対する矜恃もうかがえて素直に共感できない。と思っていたら高見順の娘の夫が文部科学大臣になった。2015/10/10
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