内容説明
「アヴァロン」「ハンニバル」「ブラックホーク・ダウン」「ボーン・アイデンティティー」「マトリックス リローデッド」「イノセンス」――デビュー以前に運営していたホームページ「スプークテール」で書き続けられていた映画時評を完全集成する第2巻。どんな「困った」作品にも、おもわず涙をこぼしてしまいそうになる作品にも、変わらず注がれる伊藤計劃の映画への愛情が、さらなる深化を見せる全24本を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絹恵
41
映画への愛ゆえに、心根に委ねた言葉が白紙の虚構へ誘いながらどこまでも現実を突き付けてきます。感性という危険なものに触れるから、感性は磨かれて、誰かのものではない自分自身のものへとなっていくのだと思いました。そして、彼の思考が作り上げた物語の映画を、彼自身が観ることが出来ない現実が、深く刺さりました。だからこそ私は私自身の思いを定めていこうと思いました。彼の計劃を待ちながら。2015/01/28
里愛乍
40
最終的に、私は本書を単なる映画時評としてではなく、伊藤計劃の書いた一冊の本として読んでしまってました。勿論、観たくなった映画は何本かあります。でもそれ以上にこの映画のレビュウを通して出てくる彼の言葉に興味をそそられます。「1984」の追及から「言葉」について人間が言葉に支配されている、というくだりや「管理社会」、「システム」「自分の欠落」、「ザ・ワン」や「ハダリ」まで出てきて、デビュー以前に書かれたという本書は、明らかに彼の小説の基となっている要素が覗えます。<1>とともに解説がまた秀逸。2015/11/02
ソラ
34
映画は今までほとんど見てこなかったが、この時評集読むと見たくなった作品が多数。特に最後の腹腹時計ってめちゃくちゃ気になる。2015/04/26
hope
29
★★★★ 伊藤氏5冊目。僕、実は結構映画好きなんです。今年は30本ぐらい見てまして。これは彼がデビュー前に自身のサイトで、愛する映画の魅力を伝え、観て欲しいと訴えていたレビュー。だから、ここには批判的なレビューが全くない。1と合わせて68本の映画が、オタクぶりを発揮した豊富な知識と鋭い解釈で紹介される。小説とはまた違う軽妙な語り口で、友人と語り合っているような気分にもなる。多くの映画とともに伊藤氏自身の魅力が詰まっています。愛すべき映画オタク。夭逝した彼の残してくれた小説をまた噛み締めたくなる。2019/08/21
N島
19
映画に魅力を感じなくなった時はこの本を読むと良い。次の日、TSUTAYAをサマヨウ自分を発見するだろう。2015/03/12