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内容説明
有史以来、庶民がもっとも貧困にあえいだのは、戦後の日本だった。
70年前、日本各地に広がっていた、あの光景-敗戦後に現れた闇市、米兵慰安婦、赤線と青線。占領軍が闊歩する街中で、庶民は、孤児たちは、いかに暮らしていたのか? 『貧民の帝都』『中世の貧民』『江戸の貧民』に続くシリーズ第四弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓
60
こういったものが、今現在書かれるということに意味がある。たかだか、七十年から六十数年前のことで、現在と地続きの事実だということに。参考文献に書いてある本は、何冊か読みたい。2015/12/21
壱萬参仟縁
40
きのうまで信じていた社会の価値観が消失しているのだが、その意味をまだよく飲みこめない(23頁)。米兵のことをGIというが、官給品government issueの略。官給の軍服を着ていることによる(84頁)。男尊女卑の儒教的精神を社会基盤に置いて、戦争をしたのだ(89頁)。言葉の言い換えで逃れようと画策。貸座敷を接待所に、そこで働く公娼を接待婦と呼ぶことにした。接待婦は自由意思で売春をする私娼(104頁)。2016/04/07
ひねもすのたり
15
タイトルには貧民とありますが、本書は敗戦直後の一般市民の状況を記したものです。 取り上げられているのは闇市、RAA、赤線、浮浪児、傷痍軍人など・・それらは焼け跡世代の小説などを読んでいるとしばしば扱われ、私自身は知った気になっている事柄でした。 ただ歴史を語るルポとして正しいか否かは別として、しばしば感情的になる著者の語り口からは、その時代に居合わせてしまった人々の呪詛のようなものを強く感じ取る事ができました。 70年前のその時代。そこには私たちの父母、祖父母の姿もあるはずです。★4 2016/11/14
4fdo4
15
日本が戦争に負けてからの5年に注視して書かれている。 本著で唖然としたのは、政府と警察が組んで作った Recreation&Amusement Associationである。 米兵の為に、日本人女性を集めて売春所を作ったのだ。 しかも昭和20年8月27日にはオープンしている。 性病で廃止になるまでの6ヶ月で、ここで働いた女性は7万人。 男が始めた戦争で、敗戦で学歴も教養も哲学もすべて吹っ飛び、 女が人身御供として差し出された。 主義主張にとらわれず、事実として読むことを薦める2015/10/25
プレイン
14
敗戦後の街中に溢れかえる戦地からの引揚者や孤児たち、痩せ細り今日を生き延びるのが精一杯の毎日。新橋や上野の闇市は今もその当時の面影を残している。現代を生きる我々も今の風景から敗戦直後日本人が最も辛かった時代を少しは想像出来るだろうか。そういえば進駐軍米兵と日本人女性の混血児が預けられたエリザベスサンダースホームは昔よくテレビで取り上げられていたことを覚えている。2015/10/10