内容説明
エコル・ノルマル・スュペリユールを卒業し、知識人界の頂点コレージュ・ド・フランス教授に選任されたブルデュー。哲学を学び、やがて社会学に方向転換したブルデューは、今もフランスと世界の思想に大きな影響力を持つ知識人。界・文化資本・ハビトゥスなどの社会学概念は21世紀の社会を分析するのにも有効な武器となる。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
32
著者がブルデューに寄り添い過ぎています。著者と交流のあった本人の一次情報は大変貴重ですが、当時の文脈通りに読むことに違和感を抱く今の読者こそ、ブルデューの読者といえるではないでしょうか。今の日本では、ジェンダーバランスに焦点が当たりそうです。アンダーソンが国家の象徴性を指摘したように、ブルデューは資本の象徴性の問題を指摘し、国家と共に資本の象徴性は案外強い。この二つを無化する方向で行くのか、それとも、これらの特徴を指摘してより良い方向に導くのか。今の問題に読み替える著者のアプローチは、残念ながら皆無です。2020/04/22
やまやま
14
ノルマリアンとしての人間関係で目を引いたのは、初期のボスのアロン、また同級生のデリダとの確執であった。正しいアロンより誤ったサルトルが好まれた学生反乱の季節とされる時代を、日本で振り付けるとすれば、既に言及があるのかもしれないが、三島由紀夫と大江健三郎というところであろうか。では、ブルデューに比肩する日本人というのは例示に窮すが、若干知識のある経済学関係では同時代の森嶋通夫氏や宇沢弘文氏のような感覚でブルデューを見れば良いのかもと感じた。なお、ノルマル在学中での「不幸な出来事」の由来は「自己分析」による。2021/01/03
Bartleby
12
必要があって読んだ。著者はブルデューと交流のあった人らしい。彼の人となりが詳しく書かれている。スペイン国境に近いフランスの農村に生まれエリート街道を進んだブルデューはしかし屈折した思いがあったようだ。“ハビトゥス”や“文化資本”なんて彼自身のためにあるような概念だ。辺境の生まれという意味でいくらか境遇が似ているデリダにはライバル心を抱いていたようだ。いかに二項対立を逃れるかという問題意識も共有している。2023/06/30
Yukiko
12
著者の加藤晴久氏の誠実な人柄が、読んでいる間に行間に立ち上ってくる、生きることの大変さと素晴らしさが感じられる本だった。こんなふうに人生を着実に歩める人は幸せだ。 ブルデューの入門書として最初に読むのが良さそうだけれど、迷った時に立ち返るのも良さそうに思う。2023/01/02
柳田
11
ブルデューが何学者なのかも知らなかった、3年くらい前、大学二年生のころに表紙がかっこいいと思って買い、たぶん1年ほどしてから読んだ。Twitterで、社会学者が著者が社会学を全然理解していないからダメ、との旨書いていたが、それは多分かなり専門的な話だろうと思うし、むしろブルデューのコンパクトな入門・解説書が出てほしい。5章には社会学理論について解説があるが、4章まではほぼ伝記で、交友関係とか他の思想家との関係とかが書いてあり面白く読んだ覚えがある。人生とその学問とが結びついていてかっこいいなあ、と思った。2018/04/13




