内容説明
鉄砲鍛冶の藤兵衛が暮らす琵琶湖の湖北、国友村。怠惰な年寄方と貧しさに喘ぐ平鍛冶衆の不和が江戸にまで聞こえるほどになり、幕府の発注も止められかねなくなっていた。危機感を募らせた藤兵衛は、ある秘策を思いつく――のちに一貫斎の号を賜り、日本で初めて火を使わない鉄砲「気砲」を作った名鍛冶師、国友藤兵衛の、一途な人生を描く傑作長編。小説現代長編新人賞受賞作。朝日時代小説大賞も受賞した大型新人のデビュー作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book Lover Mr.Garakuta
17
図書館本:【速読】鉄砲鍛冶の物語で、楽しく読めた。現代劇よりも、こう言う本の方が好き。2021/10/05
ドル箱
8
感想。仁志耕一郎がアレンジした国友一貫斎(藤兵衛)物語で、どちらかというとミリタリウンチクを語った作品。男女の物語も書かれているが、それよりも国友一貫斎の事を書きたかったような心理文体でした。国友の代表作の一つ「気砲」と「天体望遠鏡」の事も書かれており、恐らく天体望遠鏡がタイトルを占めたのではないかな。ただ、作品としてはウンチクのほうが強く物語の性はやや薄い。まぁまだこれからの作家なので、今後に期待します。しかし、国友一貫斎の事、よく勉強したね。この人、クロスボウとか万年筆等を発明した、発明家でもある2014/02/12
007
7
鉄砲鍛冶国友一貫斎の波瀾万丈記が冬春夏秋の章に分けて描かれていました(この順番が、なるほどなぁと思った)。若干物足りなさはあるものの、玉兎(月)をキーワードに全体的にうまくまとめた感がありました。脇役もよかった。同時期に刊行された「無名の虎」もなかなかの良作で、今後の活躍が期待できる新人作家です。2012/12/09
やまほら
6
「無名の虎」に続いて読んだが、同様におもしろい。最初の章は岩井三四二風だが、中盤からは主人公の人生が比較的順調になる。「無名の虎」の主人公は架空だったが、こちらは実在。こんな人がいたとは、全然知らなかった。2013/05/16
ソババッケ
4
9代目国友 藤兵衛の物語。物語は文化6年(1809年)秋から始まる、藤兵衛31歳のころ。琵琶湖の湖北、幕府直轄地の国友村。鉄炮を幕府に納めるこの村では収入の半分を年寄四家が独占、平鍛冶の藤兵衛は、想いを寄せる人の身売りを止めることもできないほどの貧困に喘いでいた。鉄砲生産集団という特殊な世界を描いていくために、悲恋物語を絡めていくのかなと思ったのだが・・・。前半は物語性が強く、後半にやや減退するのは残念。しかし、鑑定団にも時々登場する「気砲(空気銃)」を作った男とは知らなかったなー。★3.5 2013/01/25
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