内容説明
石工会社の社長が、採石場で岩の下敷きになり亡くなった。調査を頼まれたケンジは、現場に残されていた黒い粉に気づく。(「哀しき火山弾」) 堅固な二重扉に錠が掛かったままの土蔵から、家宝の掛け軸が盗まれた。犯人はどこから入りどこへ消えたのか!? ケンジが披露した驚くべき推理とは?(「山ねこ裁判」) 名探偵・宮澤賢治の活躍を描く話題のシリーズ第2弾が登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
101
今作もとても好みだった。『気のいい火山弾』の哀しみ、『雪渡り』のキックキックトントンが雪原に響く様子、賢治作品への愛が伝わってくる。妹の死から影が落ち、作品にも死生観が色濃く現れるのが自然な流れの中で理解できる。以前『貝の火』という作品を読んだときに覚えた疑問がするすると解けた。フィクションだからこそ出会えた、生き生きと動く賢治さん。続巻を切望する。2017/09/25
ダイ@2019.11.2~一時休止
99
連作短編集。図解付きの物理トリックの赤い焔がどうどうが一番よかった。でもこの時代じゃなきゃ使えないトリックかな。2015/07/28
へくとぱすかる
70
まるで生きて活動する賢治がいるかのように錯覚。謎解きよりも、親友・藤原嘉藤治とともに、それこそ「ほほーっ!」とでも叫びそうに花巻を自在に行く姿。これは作品や評伝では楽しめない。たとえそれが著者の創作であることはわかっていても。時代は1922年。農学校の先生時代が、やはり一番充実していたのだろう。電気録音以前の音とはいえ、レコードコンサートの会場に行って楽しんでみたい。2019/08/01
まこみん
59
イーハトーブ探偵2巻め。ケンジは最愛の妹トシを24歳で亡くした。この巻はその哀しみを通奏低音の様に秘めたケンジの心情が見える。そんなケンジに親友のカトジが探偵助手の様な立場で彼を語る。大正12年の宮沢賢治は本当にこんな感じだったのでは、と思えてくる。改めて彼の作品に触れたい気持ちになった。2020/09/27
onasu
32
宮澤賢治(作中:ケンジ)、友人の藤原嘉藤治(同:カトジ)を探偵役に据えた第二弾。 賢治は前年末、最愛の妹トシを亡くしており、喪失感は癒え切れていないようだが、前作で知己となった高清が、またしてケンジに相談事を持ち込んでくる話しから始まる5話。 百年近く昔の岩手花巻。早々医者には掛かれず、あっけないほどに人が死ぬことも。ケンジは真相を突き止める傍ら、自死や他殺には憤りを覚えると共に、自らの非力さも痛感する。 爽やかな読後感ではないが、その時代、その土地っぽさ、そして解説氏の言う、生きたケンジがいる。2015/10/14
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