内容説明
ある日、村田和子は、親友・春日アヤメから怪事件の相談を受けた。妹・サツキの恋人・曽我十郎に、「曽我兄弟に告ぐ。工藤家の八百年の怨念、いまや、刃は血を求めている」という脅迫状が届いたのだ! しかし、怨念を警告した工藤のほうが殺されるという奇妙な逆転劇が……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
58
墨野隴人五部作第4弾。構想10年作者の精根込めた書き下ろし作品ではあるのですが、最終作への一作の感を強く受けます。ストーリーは正に現代に起きた曽我物語なわけですが、ミステリーとしては残念ながら、推理するまでもないという感じです。最終作へ向けて、伏線といえるラストになりますが、これも第1作品から順番通りに読んでくる事が、前提であるようです。間違っても本作から、そして多分最終作から読む事がないように、申し上げます。このシリーズは本作までにも、魅力的な女性が数多く登場し、女性活躍の時代を写しているとも感じます。2016/06/20
kagetrasama-aoi(葵・橘)
22
高木彬光作品、登録二十六作目。墨野隴人シリーズ、第四作目。前作の「大東京~」に引き続き歌舞伎趣味が満載!アリバイやトリックよりそういった雰囲気を楽しむシリーズです❤️題名からもわかりますが、“富士の裾野の巻狩り”が頻繁に言及されてます。地元の名所旧跡なので、読んでいて楽しかったです。戦中戦後の混乱が犯行の動機にかなり関わり、時代を感じる作品でした。2020/03/24
青いあめ
0
復讐のために犠牲を払い演じ裏切る2016/02/19
shiaruvy
0
コメントあとから [1998.04.20 初版]
アヴィ
0
時代ががっていたり、やたらと大仰な表現だったりと、作者は歌舞伎的な物を最後まで自作に取り入れていたが、本作などはまさにその最たる例といえる。シリーズ3作目で長く途絶していたので、このまま終わるのかとも当時思っていたが、まさに最終作へと繋ぐ橋渡し的な本作が出た時は欣喜雀躍。村田和子は自身が探偵にでもなっているかのように、墨野隴人は相変わらず意味深な発言だけ残しいよいよシリーズ最終作へ。2025/06/05