内容説明
平井太郎はいかにして江戸川乱歩となりしか──。乱歩手製の自伝『貼雑年譜』を読み解きながら、職業と住居の大遍歴を経て徐々に完成されていく探偵小説界の巨人・乱歩の実像に迫る。1978~79年刊行の『江戸川乱歩全集』月報に連載された「乱歩の軌跡 父の貼雑帖から」全25回の文章に、『貼雑年譜』の該当頁や往時の写真等を配した一書。最も身近に接した家族にして社会学者である著者が辿る“乱歩の軌跡”とは。/巻頭エッセイ=戸川安宣、解説=浜田雄介
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ted
6
'08年7月刊。○乱歩が公開を目的とせず、自らの47歳までの人生を図表に纏めた自作年譜や関連記事、図面、地図などから成る貼雑帖を抜粋して息子が分析した本。方眼紙に記入された緻密な自筆年譜は圧巻。記録に対する乱歩の並々ならぬ執念を感じる。作家としては二流の感を免れないが、それは好奇心が内へと籠るのではなく、外へ外へと向くタイプだったことに起因すると思う。生計を維持するという切羽詰った理由があったにせよ、商社員や古書店経営、造船所勤務など、職を転々としている。資質としては、作家よりは寧ろ編集者に向いている。2014/11/12
takao
2
ふむ2023/11/26
quinutax
0
乱歩を息子の視線から貼雑帖を通して描き出しているわけだが、微に入り細に穿つ解説で、その緻密な性格が受け継がれているのだなあと思う。それにしても乱歩の絵の上手さに舌を巻いた。東京パックで漫画家連をイライラさせたのもこの画力ゆえだったのかも。2017/10/09
小音
0
大変器用で、几帳面な方だと分かりました。図とか絵とか写真とかも多く、楽しかったです。私は乱歩ファンではないので細かい記述までは読みませんでした。2009/05/25
katta
0
☆☆☆☆ 乱歩の長男が、父の作った貼雑年譜を読み解き、その人となりを紹介した一冊。とにかくマメな人だこと。絵も上手い。この年譜、楽しんで作っただろうなあ。2009/02/17