内容説明
横浜地検の検察官、岩崎紀美子の最初の事件。日弁連の大物弁護士西垣文雄が横浜の自宅で惨殺された。西垣が恨みを買いそうな案件を調べる岩崎は、背後の闇の深さに直面する。検察庁と日弁連の確執、組織の軋轢……そして東京地検が日弁連に強制捜査に入る事態に発展。孤軍奮戦の若い岩崎にも、脅迫者の影が迫る。日本にもスケールの大きい本格リーガル小説が誕生したと絶賛された乱歩賞受賞作、読みやすい新装版化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
140
むかしハードカバーの本で読んでよくまあ検察や弁護士の内情を知っている著者だと感心した覚えがあります。ちょうど大学時代の同級生が検事をやめて弁護士になった当時なのでかなりインパクトがあったと思いました。いま読んでもあまり違和感がなく読めました。中嶋さんはそれにしても著作があまり多くないわりには「司法戦争」もそうでしたが、女性主人公が多いと感じました。男性だとモデルがわかってしまうのですかね。2016/10/15
はつばあば
67
ほんの数年前大阪検察庁で汚点があった。戦前の検察官が司法行政を牛耳っていた名残がまだ残っているのだろう。最初はただの怨恨?かと思っていたら検察庁が日弁連に殴り込み?。キャリアを名乗る霞が関ってどんなものでしょうね。弁護士が少ないと法科大学院を作ったが大量合格者など出してしまって、後で後悔する羽目になった。阪大から司法試験を受かり研修生として裁判所・検察庁とまわり貴重な経験をした娘の友人。どちらからも「うちに来い!」という言葉を袖にして渉外弁護士になったが・・。そんなことを思い出しながら読んだから面白かった2016/10/17
k5
63
夏のリーガルミステリ祭り②。検察と日弁連の陰謀合戦を描いた大著。権力闘争の生々しい面白さに加え、小ネタかと思っていたものが伏線回収されるなどの繊細さもあって満足度は高いです。謎解きとしては、やっぱり最後の犯人が分かったとき「おまえ誰やねん?」となってしまう弱さや、所轄の刑事がどう考えても主人公の検事より優秀だったりとかありますが、この作家は何冊か読みたい作家です。2022/07/16
shinchan
32
中嶋さん、初読みでした。30年前の作品で第40回の江戸川乱歩賞。確かに、ワープロ、フロッピーディスク、堂々とタバコetc懐かしの単語が盛りだくさんでした。現役の弁護士さんの作品だけに専門用語が次から次。女性検察官、岩崎さんの頑張りに拍手👏👏👏👏👏、少し疲れました。2024/07/08
達ちゃん
31
中嶋さん初読です。乱歩賞受賞作ということで、期待通りの面白さ。ちょっと難しい用語が出てきますが、なかなか読み応えのあるサスペンスでした。2019/12/06