内容説明
儲からないことするヤツはアホや! 明けても暮れても金、金の大坂では武士道も額面通りには通らない。義のために突き進もうと、鳥居又七は江戸の彰義隊に参加したが……。幕末大坂の武士と町人の気風を語る表題作の他、いずれも、上方の心意気を軽妙な筆致で描き、意外な結末が魅力の好短編5本を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーちゃん
153
実家佐賀に帰省途中で読破。ちょうどいい長さの短編集。 やはり司馬さんは大坂贔屓なんだナーと思う文面もちらほら。男はメンツにこだわるヨナー2017/08/17
優希
73
面白かったです。血腥くない幕末モノといったところでしょうか。町人たち上方の心意気が込められています。大坂というと町人文化が広まっていったエリア。武士道という言葉のない世界での幕末の風景もまた新鮮です。2018/07/02
Shoji
71
江戸時代、幕末期の大坂を舞台にした時代小説。主人公はお侍さん。当時の日本の経済の中心地は大坂三郷、町人分化が凝縮されたエリア。そこには豪勢な蔵屋敷が立ち並び、金満商人が羽振りを利かす。武士は町人より肩身が狭い。武士は食わねど高楊枝なんて考え方も、武士道なんて言葉もそこには存在しない。この本に書かれた、お金と色恋沙汰に翻弄されるお侍さんの姿は井原西鶴のお話そのもの。大変面白かった。2018/02/07
Die-Go
62
「和州長者」「難波村の仇討」「法駕籠のご寮人さん」「盗賊と間者」「泥棒名人」「大坂侍」の、主に大坂を舞台とした六編の短編集。江戸時代の大坂の気分が存分に味わえる。特に表題作の「大坂侍」では、商人の街大坂での武士の生きざまが面白味ある文体で描写されている。★★★☆☆2016/10/17
ポチ
56
幕末から明治にかけての大坂人の気風を書いた短編5話。話の軽さに、これ司馬さんの本?と思ってしまいました。武士や町人、泥棒も関係なく、時代の流れを読んで逞しく生きる大坂人は、軽い漫才の掛け合いを見ているようです(^^)2016/08/24