内容説明
その肉体には個性がある――胡蝶蘭に囲まれた鏡台の手前、そこには素肌にローブを纏った名優の姿があった。『ぼく』は初めて坂東玉三郎の楽屋を訪ねる。多忙な日々を過ごしつつも、迷いの真っただ中にあった作家は、この運命的な出会いを契機に、歌舞岐脚本への挑戦を企てる。そして、復活。迷いの中から、書くことによって抜け出していく足かけ7年間の「私」語り。オリジナル台本「三国伝来玄象譚」を収録。
感想・レビュー
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きなこ
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夢枕獏、玉三郎さんに恋したな2017/09/24
tomite
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ひたすら原稿用紙に物語を綴った。本が売れた。金も地位も名声も得た。だが満たされない。型に嵌められていくジレンマだけが残った。そんな時、一人の歌舞伎俳優に出会った。坂東玉三郎。圧倒的な美と、妖艶さを持った名優。彼の為に歌舞伎の台本を3年かけて創った。今までにない経験。試行錯誤の毎日。だが、充実した日々だった。作家・夢枕獏が新たな地平に踏み出した。その日々を綴ったノンフィクション。作者の新しい一面が見れて、新鮮だった。2011/01/07