岩波新書<br> ポスト資本主義科学・人間・社会の未来

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岩波新書
ポスト資本主義科学・人間・社会の未来

  • 著者名:広井良典
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2015/09発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004315506

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内容説明

富の偏在,環境・資源の限界など,なおいっそう深刻化する課題に,「成長」は解答たりうるか――.近代科学とも通底する人間観・生命観にまで遡りつつ,人類史的なスケールで資本主義の歩みと現在を吟味.定常化時代に求められる新たな価値とともに,資本主義・社会主義・エコロジーが交差する先に現れる社会像を,鮮明に描く.

目次

目  次
   はじめに──「ポスト・ヒューマン」と電脳資本主義

 序章 人類史における拡大・成長と定常化──ポスト資本主義をめぐる座標軸

 第Ⅰ部 資本主義の進化

 第1章 資本主義の意味

 第2章 科学と資本主義

 第3章 電脳資本主義と超(スーパー)資本主義vsポスト資本主義

 第Ⅱ部 科学・情報・生命

 第4章 社会的関係性

 第5章 自然の内発性

 第Ⅲ部 緑の福祉国家/持続可能な福祉社会

 第6章 資本主義の現在

 第7章 資本主義の社会化またはソーシャルな資本主義

 第8章 コミュニティ経済

 終章 地球倫理の可能性──ポスト資本主義における科学と価値
   参考文献
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

45
今年一番の良書かも。広井先生の集大成的な論考。いま世界の先進国で若者世代の高失業率が構造的になっている。背景に生産過剰があり、生産性が上がれば上がるほど失業が増える事態、所謂「過剰による貧困」が生じている。欧州では労働時間を減らして生活の豊かさを求める「時間政策」が進む。日本は高度成長期の成功体験が鮮烈で「経済成長が全ての問題を解決する」発想から抜け出せない。人口減社会のいま、分かち合いへの合意を浸透させて環境志向の福祉国家を目指すべき。世代間格差の是正のため、人生前半の社会保障を強化することも必要だ。2017/06/10

TATA

40
非常に興味深く読めた。最近よく目にする資本主義限界論から派生して、最後はコミュニティに回帰せよというメッセージ。確かに経済成長率低下、格差拡大となれば社会不安は増大する。そこに至って環境主義の考え方も相俟ってポスト資本主義はどこへ行く?少し前にあったピケティの理論も踏まえて、更に経済史、社会史を総合して得られた考え方は説得力の高いものに。ではそこは最近流行りの「新しい資本主義」と関連してるのかというと、成長前提ということは違ったものなんだろうな。是非今度の国政選挙でこれに近い議論を聞きたいものですが。2022/06/11

きいち

32
ケア、福祉、コミュニティ論、死生観から定常型社会と、これまでの著者の関心・提言を統合して提示。思いが走ってトートロジカルだったりとっちらかってる部分(とくに終章)を含めて、不思議な説得力と魅力がある。◇とはいえひっかかるのは、長い時間への配慮ができる価値観を、進んでる・遅れてるの一軸での拡大・成長しかなかったこれまでの資本主義に加えたとしても、それは資本主義の後の新たな価値というよりも、複数の軸を持つかたちでの「スーパー資本主義」の一つの形なのではないか?いまの社会を相対化する意味では有意味なのだが。2019/12/16

壱萬弐仟縁

32
明朝太。定常型社会(10頁図)というが、私は違うと思う。不安定社会で、放射能とダイオキシン、テロに脅え、人権や生存が危ぶまれる社会ではないか? 資本主義=市場経済プラス限りない拡大・成長を志向するシステム(28頁)というのが広井教授の定義。限界消費性向の逓減:高所得者から低所得者に所得の再分配を行ったほうが、社会全体の消費ないし総需要が増え、経済成長につながる(53頁)。人間の経済は、貨幣を含めて主観的な共同幻想(75頁)。2015/10/07

ゆう。

22
著者である広井氏の論考は、僕にとってはとても難しいというのが本音です。著者は、経済優先で儲け優先の資本主義を「スーパー資本主義」と位置付け、そうした方向では未来社会は描けないと警鐘をならします。そして、希望あるポスト資本主義として「定常型社会」「緑の福祉国家」「持続可能な福祉社会」を目指す必要性があると論じます。自然の時間軸を意識した経済優先ではない社会を目指す必要性を問うているのだと思います。資本主義の枠内での改良ですが、学ぶべき点は多いと思いました。2015/07/06

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