ちくま学芸文庫<br> 徒然草

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ちくま学芸文庫
徒然草

  • ISBN:9784480092861

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内容説明

後悔せずに生きるには、毎日をどう過ごせばよいか。「思索する読書人」兼好が自由な心で書き綴った珠玉の随筆。独創的な断章スタイルは精神の運動を活発にさせ、生きられる時間の短さに警鐘を打ち鳴らす記述と、柔軟でユーモアに富む記述とを自在に往還する。明晰な言語感覚と、全方位に開かれた視界。この世の全てを相対化し、虚無の陥穽から身を翻す兼好。そこから新しい『徒然草』の顔が見えてくる。振舞いと心遺いが文化の本質であり、いまを生きる喜びこそが虚無をも越える最良の手段なのだ。混迷する現代にあって、大人ゆえにいま味わえる人生の達人の文学を、流麗な訳文と新校訂原文で構成。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

112
徒然草の全訳の本です。高校時代を懐かしみながら読ませてもらいました。全訳の本というのはあまり無いのでいい本に巡り合えました。兼好という人物がよく浮かび上がる感じがします。博学でかなりいろんな人物も知っているということでこのような随筆が書けたのでしょう。訳者はわたしがよく読んでいる古典の日記について専門である島内景二先生の奥様でした。2023/08/25

こーた

67
有職故実。なんとも心憎いことばである。いまではすっかり忘れさられてしまった、先人の知恵に対する敬意。いや、それは当時すでに失われていて、兼好はそのことを苦々しく思っていたからこそ、故実の美しさを、つれづれなるままに書き綴った、ということか。故実には理よりも美がある。理をもってあらわされたその文には、美が宿っている。常ならざる、あはれ、なこの世にあって、その美はいまだ古びていない。2017/07/02

うえぽん

55
漢字・ルビで読み易い原文、背景まで理解できる訳、訳者の想いが伝わる評で構成された全243段の徒然草。無常感、教訓、滑稽な話の他に、宮廷人の経験ならではの有職故実が散りばめられており、通読するが故に理解できるランダム配置。最大・最高の章段の第137段は「花は盛りに、月は隈無きをのみ見る物かは」から始まり、対象と距離を置く鑑賞眼を説くが、訳者はこれをカントの趣味判断の態度と通じるとするなど、時空を超えた評釈が印象深い。無理強い、狼藉、人間関係の接着剤など、酒の善悪両面を詳説した第175段も呑兵衛には堪らない。2025/07/03

kazuさん

38
徒然草の全段244の原文、素晴らしい訳、分かり易い解説が載っている。有職故実、日常生活、人生哲学、仏教思想、日本美、芸術、政治、伝承など内容は多岐に渡る。兼好法師の博識と深い教養に驚かされた。徒然草は、室町時代から、多くの人々に読まれて来た。島内裕子氏の丁寧な訳により、原文の解読が十分にできなくても、その内容を正確に把握できるのは、ありがたい。全内容の大略が理解できたので、次に、古語辞典を片手に原文をもう一度じっくり味わいたいと思った。2024/02/22

名言紹介屋ぼんぷ

15
「世は定めなきこそいみじけれ。」2023/03/05

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