内容説明
法然、栄西、親鸞、道元、日蓮、一遍―彼らを開祖として鎌倉時代に相次いで勃興した新たな宗教運動は、日本思想史上の頂点をなすと広くみなされている。「鎌倉(新)仏教」と呼ばれるこの潮流は、民衆を救済対象に据えたという点において、とりわけ高く評価されてきた。だが、新仏教の意義は、はたしてこの民衆的性格に言い尽くされるのか? 本書では、旧仏教との異同を深く掘り下げて考察することで、鎌倉仏教の宗教的特質の核心をあざやかに浮き彫りにする。思想家である前につねに実践の人であった偉大な宗教者たちの苦悩と思索の足跡をたどり、中世仏教の生きた姿をとらえた好著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
62
鎌倉仏教はそれぞれ初代のみ革命的だったのですね。 前書きは難しいですが、本文は平易です。 第7章、富士市の岩本実相寺、1279年の、熱原法難(日蓮教団弾圧事件)について。 岩本山は花見に行ったばかりだが、この事件、知らなかった。2023/03/23
樋口佳之
41
彼らは専修念仏と出会うことによって初めて、荘園体制下の宗教的支配の呪縛を断ち切る論理を手にすることができた。/祖師さえも意識しなかった、その思想に内包されていた革新性を真に理解し、みずからの生き方の指針としたのは、既成教団や権力との妥協にのみ心を砕いたプロの僧侶ではなかった。むしろ失うものをもたない名もなき民衆たちだったのである。そして、それは日蓮の宗教についても同様であった。/各宗派の概説かなと読み出したのに、思いの外熱い議論でした2020/08/11
り こ む ん
38
ぽん!と、気になり手をだしたけど、コレだけ読んでも理解はできない。もっとイロイロ読み込まねば…痛感しつつの感想→単に宗教の「民衆化」を述べたものでなく。時代背景、法然、日蓮らの思想から、どのように「民衆化」「易行化」が生まれ根付いたかを教えてくれる本。伝統仏教と幕府の対立、弾圧で、祖師の思想は、廃除修正を余儀なくされつつも、今も脈々と続いている宗教とは、不思議なものだな。巻末の文献案内を参考に、もう少し掘り下げてみたいテーマ。2014/04/27
kana
27
目を開かされるってこういう時に使うのかな。鎌倉仏教関連のことって何度暗記してもすぐ忘れる事項の筆頭でしたが、本書を読んで初めて、法然や親鸞の生き様に彩りが生まれたような感覚。すなわち、権力と結びつき死後までも格差の縮まらない仏教のあり方に疑問を覚え、貧富の差なく誰しもが救われる世界であるべきだという確固たる意志のもとに生まれた新仏教の姿に心揺さぶられました。解釈はあくまで手段。著者が思想の質を評価する基準として当時の人々の胸に、実際に希望の灯を灯すことができたかが大切だと熱く主張するところにぐっときます。2021/11/28
中年サラリーマン
14
塔を建て寄進する。救われる者とそうでない者とで差がある旧仏教に対し、念仏を唱えれば誰でも浄土にいける鎌倉仏教はある意味平等を推進しただろう。だが本書の議論はそれだけにとどまらない。鎌倉仏教の持つ思想は旧仏教と国家権力の支配体制を根底から可能性がある。だから、鎌倉仏教の創始者達は権力から迫害を受けていく。また、迫害を受けるぐらいエッジの効いた新しい思想だった。創始者なきあと鎌倉仏教は穏健になったように見えるが名もなき農民がそれらを盾に権力に抵抗している記述が面白い。宗教が抽象でなくリアルに感じた。2014/01/13
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