内容説明
1936年、オックスフォード大学ボート部所属のジャック・ソウヤーとジョー・ソウヤーは、ベルリン・オリンピックに舵なしペア英国代表として出場、見事銅メダルを獲得した。だが帰国後、一卵性双生児の二人の運命は決して交わることなく、一方は空軍爆撃機操縦士として、もう一方は国際赤十字職員として第二次大戦下の混沌たる世界をさまよっていった……。歴史に翻弄される二人の男の人生を虚実入り乱れた語りで描く大作 解説/大森望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
73
一見ストレートな物語と見せかけて読み返すと様々な語り―騙り―が散りばめられていることに気付かされるという実に複雑な構成を持っていることに解ってくる。2人のソウヤーの手記の内容は異なり、さらには挿入される様々な記事や手記においてもまた辻褄が合わないことが多々書かれているため、前に書かれた文章を行きつ戻りつしながら補完していくことが必要だ。しかしそれがまた物語の、いや本書で語られる歴史の真実を揺るがせることになるのだから侮れない。全くプリーストは相変わらず一筋縄ではいかない作家だと思いを新たにした。2016/05/12
わたなべよしお
27
え?あ?これって、あれじゃない❗待てよ、でも…… 分かった、と思った快感はたちまちのうちに困惑と謎に変わる。不思議な小説だった。一体、何が真実なのか。しかし、そんなことはどうでもよいことのようにも思える。戸惑わせるが、素敵な体験をさせてもらった。2015/09/12
ヴィオラ
21
単行本で読んだ時は、いわゆる歴史「改変」小説として読もうとしてたからか、なんか地味だし微妙だなーとか思ったけど、文庫で読み直してみて「改変」よりも「分岐」の部分にポイントがあるのかな?と、なんとなくプリーストさんの言いたいことが掴めた(ような気がしたw)。現実は決して確実強固なものではなく、常に揺らいでいるのだ。そういう意味では、むしろ量子論SFに近いのかも…。…が、そう簡単に理解できないのがプリーストさん…読書に創作と同じくらいの労力を傾けないと、完全には理解できないのかもしれませんね(;´д`)2015/09/22
けいちゃっぷ
20
字面だけを追っていけば読みやすいのだけど、さまざまなトラップが仕掛けられていて頭の中がクシャクシャになりそう。 一番気になったのは弟が常に救急車の中に引き戻されること。 弟にとってその先の人生はすべてが幻なのか?(解説は違う事を書いているので、そちらが正しいのだろうけど) まあ、一読では全貌はつかめませんな。 347ページ 2017/08/08
もち
16
「伝えなければならない。おれがおまえの兄弟だからだ」◆一卵性双生児のジャックとジョー。二人が見た戦禍は、それぞれ異なるものだった。爆撃合戦へ加速した世界で生きるジャック。劇的な講和が俎上に載せられた世界で生きるジョー。真実は何処に。■斬新すぎやしないか、これは。取り囲んだ虚像と鏡像のどれもが、喧しく「事実」をぶつけてくる。どれを受け取り、どう組み立てるかは読み手次第。想像力を試す姿勢から放たれた一撃は、二つの文学賞を射止めている。2017/11/26
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