内容説明
テロリストの爆弾でピッツバーグが〈終末〉を迎えてから10年。仮想現実空間上に再現された街アーカイヴでの保険調査に従事するドミニクは、亡き妻との幸せな記憶が残るアーカイヴに入り浸る毎日を送っている。だが調査対象の女性が殺されている映像と、何者かがそれを消そうとした痕跡を見つけたことから、彼は真実と幻影、過去と現実が交錯する迷宮へと迷い込んでいく……。新鋭の鮮烈なデビューを飾る近未来ノワール。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Porco
22
ソフトなサイバーパンクと言っていいのではないでしょうか。読みやすくてよい。2018/10/17
ヴィオラ
16
SFとしてよりも、SF的設定を取り入れたミステリとして評価した方がいいかも。フォーマット的にはハードボイルドだと思うんだけど、「行方不明の美女をさがす」というお約束も、設定・小道具を使ってヒネりを加えてあるので新鮮。そのSF的設定もそこまで極端に走らず、あくまで現実の延長線上にある技術なので、荒唐無稽な話にはなってないと思います。ミステリクラスタの人の意見が聞いてみたい一作。 そして最初に引用されていたのが、エミリー。ディキンソンの詩。コニー・ウィリスに続いて、個人的に点数アップでありますw2016/05/08
友和
16
合わなかったなぁ2015/11/01
mayu
15
設定SF、筋立てミステリーで好みの系統の話。終末以前のピッツバーグをまるごと再現した"市"アーカイヴ。拡張現実による情報過多なポップアップ広告群溢れる現実と対比して無駄な情報のないアーカイヴの情緒溢れる情景がとても好きだ。<終末>の痛手を負った孤独な現実と、幸せだった思い出に浸れるアーカイヴの間を行き来する主人公が痛ましい。彼が終始自分の傷を主張していてその辺りには多少辟易とするが、ラストで思う心象風景はほの暗いながらも美しい。喪失からの再生がテーマかなってことで、911も念頭にあるのかも。 2015/11/15
けいちゃっぷ
14
SFの衣をまとったミステリというかハードボイルドというか。 ピッツバーグが自爆テロで壊滅してから10年。 保険調査員の主人公は仮想現実上に再現されたアーカイブに入り浸り亡き妻との思い出にふけるが、調査対象者の殺された映像や、それを改ざんした痕跡を見つけ・・・。 主人公は読者ほどには現実と仮想に混乱してないと思うが、なぜそこまで真相解明に深入りするのかが分からない。 面白いなと思える部分もあったけど、全体的には・・・。 462ページ 2017/05/31