内容説明
信長に仕え二十年。丹後丹波を平定し一国の主となった光秀。齢六十を過ぎたが、嫡男は幼く、まだまだ隠居はできない。主君の覚えを得るためには武勲を上げ続けねばならぬのだが……。安土で家康への饗応を命ぜられた光秀は失態を演じ、主君の不興を買う。不安に駆られる光秀に追い打ちをかけるような下知が。領地召し上げ。追い込まれた光秀が兵を挙げた先は――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キャプテン
49
★★★★★_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1582年本能寺の変から十二日後…/安土桃山時代─山崎の戦い編】稀代の謀叛人、明智光秀殿。彼はなぜ、天下人を討ったのか。光秀殿と羽柴秀吉殿が激突する山崎の地で、過去と向き合う光秀の内情に巣食うものに、そして、それとたった一人で戦う光秀殿の姿に、拙者の心は静かに揺れた。著者の後書きを含めて時代に立ち会うことで、なお奥ゆかしくなる心情にござった。何事も引き際が大切とは言うが、滅びゆくのが自分だとして、あがかないでいられるであろうか。そして拙者は秀吉殿の時代へ。2017/11/16
けやき
14
秀吉と出世争いをしていた程の光秀の信長を討つ前の奇行、討った後の後手後手の対応は何が原因だったのか。「本能寺の変」の動機の一説としては、「意外だけどありうるかもな」と思わせるものでした。これはミステリー小説というよりホラー小説ですな。2015/07/21
ICH
9
本能寺の変・山崎の合戦に至るまでの時系列を、焼き物の工程になぞらえ、折々に合戦当日の場面を織り交ぜながら、物語りは展開します。 物語の結末に出てくる「曜変」とは、茶器の名品「曜変天目」のことで、同じように釉を使い同じように焼いても千万に一つできるかどうかの偶然の逸品だそうです。 この物語の光秀は、67歳。諸説あるなかでも高齢の設定になっています。高齢の光秀が、老いを実感・恐怖しつつもなんとか踏ん張ろうとする様は、まもなくその年代に入る今の自分と重なり、身につまされます。2021/01/03
Henzen
7
明智光秀ほどの人物がなぜ本能寺前後に要領の悪い、手をこまねいているような動きをしたか新しい解釈で描いた作品。著者後書きにもある、本能寺には様々な説があるが光秀の内面の問題である以上、明快な答えは出ない、という意見に同意でした。陰謀論好きには受け入れにくいでしょうが、自分としては納得感がありました。歴史上の人物も一個の人間としてこういう憐れさも持っているものだと感じました。2015/09/13
青蓮
5
明智光秀が何故謀反を起こしたのか!?新説を下に書かれたものでしたがびっくり!な展開でした。2015/08/10
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