内容説明
兼業漫画家の晴奈のなじみのバーは、ビルの地下にある小さな店。常連の自称早期退職者・炭津は、晴奈の話に的確で親身な助言をしてくれる素敵な紳士だ。店主の柳井の話では、名探偵でもあるらしい。そんな彼が実は幽霊だということは、柳井だけが知る秘密だ。晴奈は、幼い頃に起きたある事件を炭津に語り始めるのだが……。温かく切ない余韻を残す大人のミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
89
名探偵はバーに居る、カウンターに落ち着く紳士は実は幽霊なのです。という事で、本作も作者得意の幽霊探偵なのですが、謎解きはほんわかした日常の謎というのではない。 興味深いのは、幽霊が普通に見えているという事。しかし、その人物が死亡している事を認識してしまうと、見えなってしまう等々の定義が在る事だ。勿論この世に心残りが在るため、幽霊として留まっているのだから、それが解決してしまうと消えてしまうのだ。バーだからではないが、酒の如く甘く少し苦い切ない余韻を残す。ミステリというより、ヒューマンファンタジーに感じる。2022/04/03
takaC
62
面白いのだけど、話がかなりまわりくどいと思いませんか?2016/05/30
はつばあば
49
素敵なオジサマのくゆらす紫煙に惹かれ、地下のバーを覗いてみました。あまり美味しそうなバーじゃないですが、年配者向けの身体によさそうなバーとでも申しましょうか^_^;。未練の残る魂は、幽霊になって存在するなんて嬉しいですね。私達には見えないけれど、どこかで見守ってくれてはるのですから。そのうち私もどこかで出没したいなぁ。探偵物でなく残念だったが未練とはこんなものなのかと。ちょっと塩加減が・・・。そうか塩蒔かれるの嫌いやわね2015/06/09
らむり
48
幽霊探偵ミステリーです。あ、ホラーじゃないですよ。後半から面白くなりました。ラストのクライマックスでスッキリ。謎を解く、と言うより、謎を説くお話。2014/05/29
したっぱ店員
32
事件の真相に加え、探偵役である幽霊の「あるある」(?)というか、ここが便利でここが不便・・みたいなところも興味深かった。主な舞台となるバーのたたずまいにも似た、やわらかい余韻を残す雰囲気のいい1冊。この方の本はなんだか上品で好き。2014/04/29