内容説明
古都京都。町屋が立ち並ぶ花屋梅小路の一角に下宿「京極荘」はある。世話人の絹子が作る朝晩の手料理は絶品だ。 現在の住人は、おぼこさが残る女子大生の穂香と、隣部屋に越してきた昂季の二人きり。冷たい瞳で京言葉を話すいけずな昂季は、誰にも言えないみやびな秘密を抱えていた――。 二人きりの同居生活に戸惑う穂香だが、ある朝、昂季が大切にしている古い百人一首の本を開いたことで、二人の関係は一変する。 触れてはいけない一冊の本から始まる不思議の数々。わずか31文字の和歌を紐解けば、百人一首に秘められた“もう一つの想い”が今に蘇る―― 。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆかーん
48
百人一首が好きな人には、ぜひ読んでもらいたい一冊!大学生の穂香さんが選んだ下宿先に同居するのは、謎の青年、昂季君。彼の部屋に置いてあった古い百人一首の本を、穂香さんが開いてしまった事で、和歌の絵がバラバラに消失してしまいます…。絵を元に戻すには、『うた猫』という和歌に取り付いた妖怪猫を成仏させるしかない様子。100首あるので、すべてを集めるには、どのくらいの月日がかかるのか…。今作では3首分のうた猫を集められましたが、あと残り97首。全て集めるまでこの作品は続いてゆくのでしょうか?穂香さん頑張れ!2016/02/11
はな
44
図書館本。百人一首と猫、京都と気になるものがギュッと詰まった小説。うた猫と言う百人一首の想いが宿ったニャンコが本から逃げ出したのを捕まえるという内容で、3首とも好きな感じです。とくに2首目のストーリーは好み。この作品は好きだけど、きょう男のいけずの方向が何となくいらっとする感じでちょっと嫌だなというのと主人公は勝手に部屋に入って他人の物を荒らすという行為がNGだよね…と言うところが何とかならんかなと思いました。2016/02/14
ううち
37
猫と化した百人一首の歌を一首づつ読み解いていくという御用はちょっとめんどくさいけど、柔らかく優しい物語。百人一首の解説も勉強にもなります。京都弁のツンデレ男子も良いです。下宿先の絹子さんのご飯が美味しそう。2巻も出ているようなのでチェック。2016/06/04
ちびめろ
36
間違えて2巻を先に買ってしまいました。読もうとして“2”と書いてある事に気が付いて、本書を購入。危ない所でした…「京都」「百人一首」「猫」というキーワードにあざとさを感じないわけではありませんが、私も嵌ってしまったのでOKです。百人一首の短歌に他の意味を持たせる発想が面白いです。まったく馴染みがない訳でもなく、何となく知ってたりする歌を出してくる辺りに巧妙さを感じます。2巻はあるので、当然読みます。2016/03/24
3月うさぎᕱ⑅ᕱ゛
35
設定など気になるところは多々あるものの…。和歌に込められた情景の美しさだけではない秘めたる思い。私には和歌をそのまま読むだけでも難解だけど、こうやって物語で解いてもらえると分かり易い。「錦に染まる想い」が良かったです。和歌を題材にした大人の女性向けの物語があれば読みたいなぁ。2015/10/26