内容説明
芽野史郎は全力で京都を疾走していた――無二の親友との約束を守「らない」ために!(「走れメロス」) 表題作の他、近代文学の傑作四篇が、全く違う魅力をまとい現代京都で生まれ変わる! こじらせすぎた青春は、こんなにも阿呆らしく、そして気高い!! 滑稽の頂点をきわめた、歴史的短編集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわ
183
森見ワールド卍開なオマージュ感溢れる5つの短編集。ユーモラスではあれど、決して小馬鹿にしていない…否、愛で満ち満ちている。表題は走れメロスだが、冒頭が大好きな山月記で嬉しくなる。森見作品を読む度に『何か波長が合うな』と感じていたが、確かに中島敦のテイストがほんのりあるもんな…そりゃ好きになるさ! 尚、今回は原作を読み終えている2編を読了した所で一旦本を閉じた。残りは原作を読んでからのご褒美として残しておこう。余談…最後の解説まで夢十夜のオマージュになっていて笑った。凡事徹底とはこの作品の為の四字熟語では?2025/11/16
うっちー
182
私は森見さんらしい作品だと思いました2015/11/17
扉のこちら側
138
2016年519冊め。文豪たちの名作が、現代の腐れ大学生達に置き換えられてリメイクされる。友との約束を守らないために京都の町を疾走する腐れ大学生の表題作が一番笑える。原作の雰囲気をうまく生かしているのは『山月記』かな。5編とも原作は既読だけど、近々再読しよう。2016/07/03
『よ♪』
126
文豪達の作品五篇を元ネタに阿呆京大生達の青春を描くリブート作品。"リブート"というのは"原作を元に全く違う視点で作り直したモノ"というような意味らしい。さて私、文豪の作品には知見がありませんが、どの作品も楽しんで、或いはしっとりと、作中世界に浸ることが出来ました。『走れメロス』は先生お得意のドタバタ劇で笑いを誘いますが、一番のお気に入りは『桜の森の満開の下』です。成功を手にした男の苦悩・葛藤と移り変わる四季の描写の対比が美しい。不思議の漂う共通の世界観と登場人物の繋がり。五篇でひとつの作品になっています。2018/05/27
里愛乍
81
祥伝社にて既読済ではあるが、表紙に釣られて購入。地図が無かったのは残念ではあるが中村氏の表紙が可愛いから良しとする。過去の名作を現代に置き換えたというメロス他四遍、最近読んだタイムマシンブルースの時も思ったが、森見小説の最大の魅力のひとつはあの独特の文体でもあるので、この企ては大いに正解だったと考える。特にメロスの京都の描写。京極東宝とか八千代館など懐かしさに泣けてくるではないか。阿呆かと思えばシリアスもあり、何度読んでも飽きない。斎藤が登場する新釈第二弾があっても良いのではと思ってしまう。2020/09/09




