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内容説明
吉崎殿と奥方が、生まれたばかりの若君・松寿丸をかわいがるので、飼い猫の小虎丸は嫉妬するが、器量よしの新しい乳母・磯良に機嫌を直す。だが、磯良を慕いすぎる上、体の弱い松寿丸に、館には、何やら不穏な空気が漂い出す……。中世ものの名手が描く、男と女の「おとぎ話」――表題作ほか、珠玉の全七篇を収録した、近藤ようこの傑作短篇集、待望の新装版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mocha
79
げにおそろしき人の業。巻き込まれて命を落とした猫は浮かばれないな〜。美女と醜女の描き分けが極端で笑えました。2016/02/05
眠る山猫屋
51
短編集、逃れられない世界の軛には抗えない、そんな切なさに満ちた物語の数々。愛憎は表裏一体。美醜は時代によって変わり、人の心も、また。2021/02/13
moonlight
30
短編が7編。人間てちょっと怖くて哀しくて愚かで。だからこそ人生にドラマが生まれるのかな。全編に猫が出てくるわけではなく、表題作の、猫〜‼︎そりゃ口惜しや口惜しや…2022/04/18
あかつき号
11
おとぎ話の陶然とする空気のなかの生々しさ。 それでいて、ぽーんとおとぎ話に飛ばされるような異国感。ようやくこの世界に入れる自分になった。2015/09/08
はる
10
買い本。あらら、カバーをめくってみれば猫が倒れ伏している。磯良という名は、雨月物語を読んだ時からずっと切なさをまとった名前だな。猫にはお気の毒なことだが、きっと極楽があるよ。こんな絵と物語りの世界に浸れるのは、まさに極楽。2015/09/15