内容説明
近所の小母さんが遺した、謎めいた「暗号」。隣家に住む姉妹とともに解読をこころみる佐保(さほ)は、土地に根づく習俗がからみあう、不思議な世界に迷いこむ。幾重にも交わる家や人の縁、わけしり顔の兄、そして庭から見つかった蛇の石の意味とは? 懐かしくも妖しい世界を描き出し、著者の新境地を拓く長編小説。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
83
表紙から、いつもの長野さんの作品と違うと思いましたが、内容も雰囲気が異なりました。女性の登場人物が多く、語り手も女性というのは珍しいなと。それでも妖しくて曖昧な雰囲気は健在です。謎めいた暗号と不思議な世界に迷い込む中で味わうものは新しくも懐かしいものがありました。2017/05/04
はらぺこ
39
この不思議な感じ好きです。 佐保と立彦っていう名前から生まれた季節が分かる理由は特に説明してくれへんかったけど置いてけぼり感はなく自分でネット検索した。あと『黒文字』は赤文字系とか青文字系っていうのんと一緒やろなぁと思ったけどやっぱり違ってた。なんやかんやと勉強になった。2016/03/01
雷華
15
亡くなった菊屋のおばさんの残した暗号をひょんな事から隣に暮らす姉妹ととくことになった主人公。ある時を境に人格が変わってしまった兄は訳知り顔。 久しぶりに読んだためか、こんな話だったっけ?と言う印象が。あと、兄の名前にまつわるあれこれがあったような気がするのですが、記憶違いだったのだろうか……?様々な人間関係が要り組み、菊屋のおばさんの死から見え始めた謎が日常のなかに顔を出す。すべてが解決したとは言いづらいものの最終的には落ち着くところへ落ち着いた感じがします。本当にこれと箪笥のなかの雰囲気が本当に好きです2015/10/22
凛風(積ん読消化中)
13
妙な話なのだ。となりの姉妹は主人公ではなくて、存在感強めなのは、圧倒的に私の兄。次に亡くなっているけれど菊屋のおばさん。時代設定がまったく分からん。私は手作りの洋服屋を友達と営んでいて、完全に昭和感なんだけれど、パソコンを使って家で仕事をしている人もいて、ケータイを使う人はいない。この辺りの収まりの悪い感じは全体に漂っていて、ストーリーも何が芯になる話なのかとても掴みにくい。にもかかわらず、面白い。私は取り止めのない話が好きだから、気に入ったけど、苦手な人も多いだろうな、とも思う。フワフワと読みました。2024/01/30
うさぎ
12
なかなか読み進める事が出来ませんでした。結構な時間を費やして読み切ったのですが、登場人物が主張していないかんじで、たゆたう様なお話の流れと相まって、何だか薄いベール越しに読書している感じてした。解説を読んでもどちらかと言えば雰囲気論に終始しているようで、「そう言う本なのか…」となぜか納得してしまいました。2021/06/01
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